ブリード(昇華移染)とは、ポリエステル生地を染めた染料がプリント部分に移行してしまう現象の事。
下の2枚の写真をご覧ください。
どちらも黒いポリエステル素材のTシャツに赤いインクでプリントしましたが、上の画像は綺麗に発色しているのに対し、下の画像はプリント部分が濁った色になってしまいました。
これがブリード現象です。
なぜこのような現象が起きたのでしょう?
原因は染色方法と乾燥温度にあります。
原因
ポリエステルは水に馴染まない疎水性の繊維です。
この性質は水分を素早く拡散し蒸発させるという機能を衣類にもたらす一方で、染色が非常に難しいというデメリットになります。
親水性の染料は生地に馴染まないため、ポリエステルの染色には分散染料を使うのが一般的です。
水に溶けないが,適当な分散剤とともに水中に微粒子(コロイドに近い状態)として分散させると,アセテート,ナイロン,ポリエステルなどの疎水性合成繊維に染まる染料。
また、ポリエステルは分子構造が非常に緻密なため、染料が入り込む隙間がほとんどありません。
そこで、高温・高圧下でポリエステル繊維の分子同士の結合を弱め、分散染料をポリエステル繊維内部に押し込んで染色するのです。
繊維内部に閉じ込められた染料は通常の環境下で外に出る事はありませんが、熱や圧力がかかると繊維表面に移動します。
さらに、熱によって分散染料が昇華し、樹脂加工面(プリント面)に移動して変色を起こします。
固体が表面から気化して直接に気体となる現象。その逆過程 (固化) を意味する場合もある。常温・常圧で,ドライアイスやショウノウは融解して液体になることなく固体から直接に気体となる。昇華するのに必要な潜熱を昇華熱という。
特に、濃い色の生地はより多くの染料を必要とするため昇華現象が起きやすく、注意が必要です。
対策
ブリードを100%防ぐ方法はありませんが、発生リスクを減らすために有効な対策はあります。
加工時は低温で乾燥する事とローブリードインクの使用が主な対策となります。
保管の際は高温多湿な環境を避け、濃色のポリエステル製品に他のプリント加工された製品を重ねないなどの対策をしてください。
もちろん、アイロンやタンブラー乾燥機の使用は厳禁です。