冬はインナーにシャツ、ニットの上にダウンというように、寒いとついつい重ね着してしまいますが、4枚5枚重ね着すると動きにくいし着膨れするしでデメリットが大きいですね。さらには、満員電車などで汗をかいてしまうと濡れた服により・汗冷えを起こしやすいので注意が必要です。
寒さ対策には体を冷やさないための重ね着は最小限必要ですが、コートなどのアウター1枚の着脱で体温調節できるくらいがおすすめ。着ぶくれせずに、寒さから体を守るポイントは機能的インナーを着用することです。
インナーの素材や機能はさまざまですが、用途や目的あったものを選ぶことが重要。冬のインナーと言えばユニクロのヒートテックなどが定番ではありますが、スポーツや登山など、汗をかくシーンでの着用は汗冷えを起こしやすかったりするのをご存じでしょうか?
そこで今回は、意外と知られていない機能的インナーの種類や用途について解説します。
機能的インナーの素材
今や誰もが一枚は持っている冬の定番アイテムといえば、ユニクロのヒートテックなどの機能的インナー。とにかく薄くて暖かい防寒アイテムですが、このような機能的インナーはどんな種類があるのかご存じでしょうか。
まずは、あったか機能的インナーに使用される代表的な素材ご紹介します。
吸湿発熱素材
ユニクロのヒートテックなどの機能的インナーは、体から発生する水分を吸収して、水に変えるタイミングで発熱する機能的素材で作られています。各製品、レーヨンやアクリルなどを混合し、より水分を取り込みやすく発熱しやすいように、織り方や編み方を工夫して特色を出しています。
なお、吸湿発熱素材のデメリットとしては、吸湿しすぎると飽和状態になってしまうと乾きにくいため、体を冷やしてしまう恐れがあるため、スポーツ時や汗をかくシーンには不向きとなります。
寒い季節のあまり汗をかかない日常使いに最適でしょう。
速乾性吸湿発熱素材
こちらは、上記の吸湿発熱繊維に速乾性を加えた素材となります。吸湿発熱繊維同様、体から発生する水分を吸収して水に変えるタイミングで発熱する機能に、吸収した水分を生地表面に拡散させて乾かす機能が加わったものです。
寒い季節の日常使いから、汗を多くかくようなスポーツ時や雪山登山などに使えます。
メリノウール
メリノウールとは、メリノ種という羊の毛から取られた天然素材であり、羊毛の中でも最高品質とされています。羊毛の繊維は大気中の湿気を吸収して熱を発生させ、優れた保温性により熱を逃がさない働きがあります。また、通気性抜群なため、汗を素早く吸収・発散してくれます。さらには、天然の抗菌・防臭効果があり、嫌なにおいが発生しにくいもの特徴です。
速乾性吸湿発熱素材と同様に、寒い季節の日常使いから、雪山登山や極寒地などで活躍します。
用途別:機能的インナーの選び方
機能的インナーの素材には上記のようなものがありますが、実際にどのようなものを選ぶのが良いか用途別に見ていきましょう。
日常生活
普段の生活や屋外でのあまり汗をかかないシーンには、ある程度の保温力がある吸湿発熱素材などのもので良いでしょう。
スポーツ
体が温まり汗をかくため、吸水性と速乾性に優れた速乾性吸湿発熱素材やメリノウールなどが良いでしょう。
アウトドアや登山
冬のアクティビティでは汗をかきやすいので、吸水性と速乾性に優れ、さらに保温性が高いメリノウールや速乾性吸湿発熱素材などが良いでしょう。なお、季節やエリア、標高に応じて、中厚手タイプや厚手タイプを選ぶことをオススメします。
おすすめのあったかインナー4選
あったか機能的インナーについてはこれまでお伝えしてきた通りですが、新たに購入するなら日常生活から厳冬期の登山までマルチに使えるインナーがいいですよね。
せっかく買ったのに冬山登山には不向きだった…
なんてことにならないため、ここでは厳冬期の登山から日常にも使える機能的インナーを4つ紹介します。
ジオライン EXP. ラウンドネックシャツ|モンベル
モンベルのジオラインシリーズの中でもっとも厚手の「ジオライン EXP」は、極寒地での登山やスノースポーツなどでの着用を想定したモデル。汗を吸収し素早く外に逃すことで、ウエア内をドライに保つことで汗冷えを防ぎます。また、繊維にセラミックが練り込まれ赤外線効果で温かく、繊維や糸の内部、生地の間に空気を保持するため、優れた保温性能があります。
なお、着用時には暖かさは感じませんが、少し活動すると、じわーっと暖かくなります。汗をかいても乾きやすく、休憩中も汗冷えしないため、行動と休憩を繰り返し行うシーンや、汗をかきやすい人に適しているインナーです。
スーパーメリノウール EXP. ラウンドネックシャツ|モンベル
天然繊維メリノウールを素材としたモンベルの「スーパーメリノウール」は、「ジオライン EXP」同様に厳冬期用のモデル。スーパーメリノウールは、トップレベルの吸湿発散性を持つ天然繊維であり、発熱量と冷えにくさが特徴です。
なお、吸汗性速乾性はジオラインに比べると劣るため、あまり汗をかかないシーンに向いています。寒冷環境下のテントの中はもちろん、日常のテレワーク中などのあまり動かない時や冷え性の方に最適なインナーです。
ブレスサーモアンダーウエアEXクルーネック長袖シャツ|ミズノ
ミズノが独自に開発した吸湿発熱素材「ブレスサーモ」のインナーシリーズの最強発熱とされるアイテム。こちらも極寒地での登山や屋外作業などの活動に適したモデルとなり、発熱と保温に優れ、ムレを抑えて快適な状態を保ちます。
こちらも、モンベルのスーパーメリノウール同様に、冬山登山やスノースポーツ時などの汗をかくようなシーンでの着用ではなく、キャンプやハイキングなど、あまり汗をかかないシーンにオススメです。
メリノスピンサーモロングスリーブ|ファイントラック
天然繊維メリノウールと化学繊維ポリエステルを混紡し、ウール本来の保温・調湿機能とポリエステルの吸汗速乾加工を兼ね備えた、厳冬期などの寒いシーズン向けのインナーです。
ウール特有のチクチク感の弱点を補強した、柔らかくて着心地良いのが特徴。
蒸れにくく、汗を素早く乾かすので、冬山登山などの冬期のアクティビティにおすすめのインナーです。
おまけ:ヒートテックウルトラウォームクルーネックT(超極暖・長袖)|ユニクロ
通常のヒートテックよりも厚みがあり、約2.25倍の保温力があるとされる「ヒートテックウルトラウォーム(超極暖)」 。吸汗速乾性はほとんどないため、汗をかくと汗冷えを起こしてしまうのが最大の欠点と言えるでしょう。そのため、汗をかかない日常生活やちょっとした外出の着用には最適ですが、登山やアクティビティなどにはおすすめいたしません。
いかがでしたでしょうか。
登山する方には常識かもしれませんが、冬のあったかインナーにはこのような違いがあるのです。普段着ている吸汗速乾性のインナーなら暖かいし、雪山でも大丈夫かと思ってしまいがちですが、汗冷えなどが原因となり、最悪死に至ることもあるので、用途に応じたインナーを着用しましょう。