様々なウェブサービスで画像をアップロードする機会が増えているなか、誰しも一度は目にしたことがあるであろうPNGやJPEGといった画像のファイル形式。これらのファイル形式の違いは何なのか?という点であったり、画像の用途や状況に応じた使い分けが必要ということまでは理解していない方も多いはず。今回は、そんなPNGファイルの基礎やJPEGとの違いなどを紹介していきます。
PNGファイルとは
まずはじめに、PNGファイルとは何かという点を見ていきましょう。
PNGファイルとはラスター画像(ビットマップ画像)のファイル形式の一種で、正式名称を「Portable Network Graphics」と言います。読み方は「ピング」または「ピン」で、ファイル拡張子は「.png」です。
PNG形式の画像は、可逆圧縮により画質の劣化なしで圧縮保存することができるのが特徴で、非可逆圧縮を採用しているJPEGとは異なり、圧縮前のデータと展開後のデータが完全に一致します。その他にも、透過情報(アルファチャンネル)を含むことができるなど、汎用性が高い画像フォーマットなのです。
PNG画像形式が初めて登場したのは1995年で、それまで可逆圧縮の画像フォーマットとして普及していたGIFの後継フォーマットとして普及しました。日本国内でインターネットが爆発的に普及したのが「Windows 95」が発売された1995年頃ですので、その時点ではすでにGIFの後継フォーマットとして登場していたことになりますが、GIFで使用できる色が256色だったのに対して、256色以上表示可能なコンピューター画面が主流になってきたことで、その制限を解消するPNGの登場は、まさに画期的な技術革新であったと言えます。
PNG画像の用途
PNGはWebに適しています。画質を劣化させずに圧縮保存することができ、色数が少なければ少ないほどファイルサイズを小さくできるため、ロゴやイラストのファイル形式として最適です。
印刷用にも使えますが、注意が必要です。PNGはCMYKカラーモードに対応していないため、RGBモードでしか保存できません。コンピューターやスマホの画面のカラーモードはRGBですが、フルカラー印刷のカラーモードはCMYKです。RGBの色域はCMYKの色域よりも広く、蛍光色のような鮮やかな色も表現できますが、そのような彩度の高い色はCMYKでは表せないため、印刷と画面の色に大きなギャップが生じます。PNG画像を印刷用データとして入稿する際は、その点を考慮しましょう。
印刷用には、PSD、EPS、TIFFなどの画像フォーマットが適していますが、これらの画像はそれに対応したアプリケーションがなければ用意できないのが現状です。誰でも簡単にネットで印刷注文ができるようになった今、多くのサービスがPNGに対応しています。「彩度の高い色の使用を避ける」などの工夫をすれば、問題なく印刷用データとしても使用でるでしょう。
当サイトTプラントは、PNG画像の入稿およびデザインツールでのPNG画像の読み込みに対応しています。
PNG画像の種類
PNG画像には複数のタイプが存在し、おもなタイプは次の3種類です。
タイプ | 説明 |
---|---|
PNG-8 | 256色を表現することができる |
PNG-24 | 約1,677万色の情報を持つことができる |
PNG-32 | PNG-24に256諧調の透過情報を加えたもの |
PNGの後に続く数字はビット数を表しています。ビット(bit)とはコンピューターが扱う数値の最小単位のことで、2進数の1桁を意味します。PNG-8は8ビット、すなわち2の8乗=256種類の色を扱うことができ、PNG-24なら2の24乗=16,777,216種類の色を扱うことができるのです。
このように、ビット数が大きくなれば扱える色の種類も増えますが、その分ファイルサイズも大きくなります。
なお、PNG-8の色数は256色でGIFと同じですが、ファイルサイズはGIFよりも小さくすることできます。PNGは容量の面でもGIFより優れていると言えるのです。
JPEGとの比較
WEBや印刷用データとして広く使われるファイル形式には、PNGの他にJPEG画像がありますが、どちらが優れているのか、画像のタイプ別に比較してみます。
文字のみの画像の場合
PNG画像(PNG-8)

JPEG画像(高品質:80)

JPEG形式のファイルサイズが18KBなのに対し、PNG形式のファイルサイズはたったの4KBでした。
原寸では画質の差はないように見えますが、拡大するとその差がはっきりします。

JPEG画像のグレーのベタ部分にはもやもやとしたノイズがありますが、PNGにはありません。今回はJPEGで保存する際に低圧縮率(高品質)を選んだので大きな差は生じませんでしたが、圧縮率を上げればJPEG画像のノイズはより目立つようになります。
このように、文字のみの画像ならPNGフォーマットの方が断然優れています。
ベタ塗り中心のイラストの場合
PNG画像(PNG-24)

JPEG画像(高品質:80)

JPEG形式のファイルサイズが89KBなのに対し、PNG形式のファイルサイズは約半分の47KBでした。色数が増えた分、JPEGとの差は小さくなりましたが、上記サンプルのような単純なイラストであればPNGの方がファイルサイズを軽くできると言えるでしょう。画質についてはパッと見分かりませんが、もちろん劣化のないPNGの方が優れています。
写真の場合
PNG画像(PNG-24)

JPEG画像(高品質:80)

JPEG形式のファイルサイズが286KBなのに対し、PNG形式のファイルサイズは約3倍の923KBでした。写真のように色数が多い画像では、PNGのファイルサイズはJPEGよりはるかに大きくなり、デメリットとなります。また、複雑に色が変化する写真においてはJPEGのノイズは目立たなくなり、画質面でのPNGの優位性は低くなります。
写真を保存する場合はJPEGの方が適していると言えるでしょう。