「シュラフ」と「寝袋」の違いとは?
キャンプや登山、サイクリングなどの空前のアウトドアブームの到来ですが、みなさんは充実した休日をお過ごしですか?都会から離れて大自然のなかに身をおき、木々のざわめきと小鳥のさえずりを聞きながらゴロンと寝転ぶなんて、なんとも贅沢なひと時ですよね。
そんな屋外の寝具に欠かせないアイテムと言えば「シュラフ」。
寝袋と言った方がピンとくる人も多いかと思いますが、シュラフとはドイツ語の「シュラフザック(Schlafsack)」が由来で、ドイツ語の「schla=寝る」、「sack=袋」を指すため日本語にすると「寝袋」なんですね。ちなみに英語では「Sleeping Bag(スリーピングバッグ)」と言いますが、登山用語の「ピッケル」や「カラビナ」などもドイツ語だったりするのです。
そんな言葉の由来はさておき、今回は登山も大好きな先輩キャンパーに「シュラフ」について、どんな種類があるのか、どう選べばいいのか教えていただきました。
そもそもシュラフ(寝袋)とは、キャンプや登山などの野外や防災用品としても用いられる袋状の携帯用寝具であり、
・夏の高山で使用するものや厳冬期雪山でも使用できるもの
・化学繊維やダウン
など、その種類はとても豊富。寝心地や保温性、メンテナンスなど知れば知るほど奥の深いシュラフですが、キャンプや登山、車中泊はもちろんのこと、災害時や職場での泊まり込みなどの様々な場面で活用できるので、ぜひこの機会にシュラフの知識を深めてみてはいかがでしょうか。
キャンプにしても登山にしても、何をするにも「熟睡できるかどうか?」がポイントとなりますので、せっかくの楽しみが残念な思い出にならないために、正しいシュラフ選びができるようになりましょう。
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シュラフの種類にはどんなものがある?
まずは形状について。
シュラフの基本的な形状は主に「封筒型」と「マミー型」の2種類に分かれ、そこから派生した「フード付き封筒型」などのデザインもあります。ここでは定番の「封筒型」と「マミー型」の特徴を見ていきましょう。
《封筒型》
その名の通り上から下までの幅が同じ長方形の「封筒型」は、マミー型に比べてゆったりしているため布団に近い使い心地で寝返りを打てる余裕があります。ですが、その分、体への密着度が低いためマミー型と比べると保温性が落ちます。
ただし、ファスナーがあるため温度調整しやすく、完全に広げれば掛け布団のように使用することも可能。さらに、同じモデルを2つ繋げることもできるので、ダブルサイズのシュラフとして子連れキャンプにオススメのアイテム。
《マミー型》
顔を出す部分にフードが付いており、中に入るとミイラ(マミー)のように見える「マミー型」は、外気が入りにくく、体への密着性もあるため保温に優れているのが特徴。封筒型と比べて、軽量タイプが多く、コンパクトに畳めます。ソロキャンプやツーリング、登山などの荷物と一緒に持ち歩く場合にはマミー型がオススメ。
シュラフの形状の次は、中綿になる保温材について。
シュラフの保温材の素材は大きく分けて「化学繊維」と「ダウン(羽毛)」の2種類になります。
化学繊維とダウンでは何が違うか、それぞれの特徴を見ていきましょう。
《化学繊維シュラフの特徴》
・耐水性が高い
・中綿が多い分、ボリュームがありクッション性が高い
・安価
・収納サイズが大きい
・重い
《ダウンシュラフの特徴》
・耐水性が低い
・中綿がダウンのため、充填量によりクッション性が変わる
・高価
・収納サイズが小さい
・軽い
これらがそれぞれの特徴となりますが、実際にモンベルの化学繊維シュエラフとダウンシュエラフの分かりやすい比較として2商品を見ていきましょう。
■化学繊維シュラフ
【価格】¥15,950(税込)
【快適温度】5℃
【重量】933g
【収納サイズ】∅17×34cm(6.8L)
【公式サイト】 https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1121426
■ダウンシュラフ
【価格】¥33,000(税込)
【快適温度】 4℃
【重量】531g
【収納サイズ】∅13×26cm(3.0L)
【公式サイト】 https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1121401
どちらの商品も同じくらいの適応温度で、夏の高山から冬の低山キャンプまで年間通して使用できるものですが、比較するとダウンは価格が約2倍、サイズは約半分になりますね。
なお、化学繊維シュラフの特徴でクッション性が高いとお伝えしましたが、寝心地が良いのは断然ダウンなんです。というのも、背中側のクッション性は化繊シュラフの方がダウンに比べて厚みを感じ、背中に感じる床の硬さがダイレクトに伝わりにくいものの、ダウンの場合には体の前面を覆う部分が羽毛布団のようにフワフワ感があり、体のラインに沿ってなじみやすく、首や肩の周りの隙間も最小限に抑えることができるのです。
まぁー、寝心地の好みにもよりますし、シュラフの下にはマットを引くものですので、化学繊維シュラフの方が好きな方もいるので、ショップやレンタルなどで実際に試してみるとよいでしょう。
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化繊?ダウン?用途に応じたシュラフの選び方
これまで見てきたように、シュラフを選ぶ際には形状と保温材、重量と価格がポイントになり、化学繊維化ダウンのどちらを選ぶかは、シュチュエーションと予算に合わせて購入するのが基本です。
ダウンシュラフ:登山やキャンプ、ツーリング、登山などの荷物と一緒に持ち歩く場合
化繊シュラフ:マイカー移動のキャンプや車中泊、災害時や職場など
ダウンシュラフは化繊シュラフに比べて価格が高いことが難点ですが、コンパクト性が高く寝心地の良いのでダウンシュラフを選ぶ人が多いと言えます。
なお、冬場に使用する場合には、体温と外気の温度差でシュラフが結露しやすいため、濡れやすくなります。そのため、コンパクトになるものの水に弱いダウンが良いのか、水に強いが少々かさばる化学繊維が良いかは、使う人によって分かれるところです。
お手入れに関して言えば、化学繊維なら普通の洗剤を使用して洗濯機で洗えるものの、ダウンは家庭用洗剤だと天然油分を奪ってしまうため専用の洗剤が必要となったりと、様々な違いがあります。といっても、洗濯をする目安は30~50回程度使用した時とされているので、数回使用しただけでは洗濯の必要がないので、あまり気にする必要はないのかもしれません。
また、ダウンシュラフを選ぶ際は
ダウンの性能を表す数値「FP(フィルパワー)」をチェック
して下さいね。
FP(フィルパワー)とは、ダウンを押した時に跳ね返ってくる復元力を数値化したもので、その数値が大きくなればなるほど空気含有量が多くなり、保温力の目安となります。
とされており、登山目的なら700〜800 FPがオススメ。
もちろん、価格に関して言えば650 FPよりも800 FPの方が高価になりますので、車中泊などの登山以外の場合には、さほど高い数値のものを必要としないのかもしれません。
また、メーカーにより異なりますが、シュラフを選ぶための指標として
快適使用温度:快適に眠れるという目安温度
限界使用温度:工夫次第で何とか使用できるという目安温度
のチェックも忘れずに!
「夏用」「3シーズン用」「オールシーズン用」という表記の場合もありますが、登山の場合には快適使用温度や限界使用温度が重要となりますので、最低気温をチェックして選ぶようにしてくださいね。
いかがでしたか。
夏の車中泊に限って言えばシュラフが必ずしも必要というわけではありませんが、キャンプや登山、避難場所や泊まり込みで仕事などにも使えるので、1つは持っていたいアイテムだと思います。ぜひお気に入りのシュラフを見つけてみてください。