トレラン初心者の基本装備
鉄人レースとして知られるトライアストンに対して、山岳レースとして人気が高まっているのがトレイルランニング。
トレイルランニング(通称トレラン)は、山々の景色や自然を楽しみながら体を動かすことができる健康アクティビティとしても密かなブームとなりつつあります。
前回記事では、トレランを始めるにあたっての心構えや準備しておきたい4つのポイントをご紹介しましたが、トレランを行う上では
「たかが山・されど山・準備を怠るなかれ」
という認識が重要。
それほど難易度が高くない山岳トレッキングですら定期的に遭難者が出るくらいですので、トレランは言わばランニング中上級者向けのアクティビティと認識し、平地でのトレーニングはもちろん、
- ある程度の走力をつけてからチャレンジする
- しっかりとプランを立てて無理のないコースで体を慣らす
- ウェアやシューズ、トレラン専用グッズをしっかり揃える
ということが大切なのです。
そこで今回は、前回記事に引き続きトレランに必要な基本装備やマストアイテム、あると便利なトレラングッズなどをご紹介。
揃えておくだけで快適なトレランライフを楽しめる
そんなアイテムの数々をご紹介していきます。
もちろん、山岳アクティビティである以上、最低限必要な装備はしっかりと揃えておく必要はあり、万が一のための装備だけでなく、快適さを向上させるアイテムなど、
レベルに応じて様々なアイテムがある
ということを知っておくことが大切です。
今回は、初めてトレランにチャレンジする方や初心者の方にフォーカスし、最低限必要なマストアイテムと、あるだけで楽しさが倍増するトレラングッズをご紹介していきます。
トレランアイテムは機能性重視で揃えるべし
トレランは、その名の通り登山道や林道など、基本的には足場の悪い不整地コースを走るスポーツです。アスファルトの道と異なり、土の上を走ることが多いので、膝などへの負担が小さいというメリットこそありますが、
砂利や浮石などで足場が不安定だったり、ぬかるみで滑りやすかったり
と、普段のランニングとは異なる点で注意を払う必要があります。
その他、硬い岩や木の根などの障害物から足を保護する必要もあり、
なによりシューズ選びが重要となる
ことは言うまでもありません。
マラソンやジョギングも同様ですが、一般的に「シューズはけちるな」と言われるようにトレランにおいてもトレイルランニングシューズ選びがとても重要となりますので、自分の足に合うことはもちろん、専門店スタッフのアドバイスを聞きながら、トレランレベルに応じたシューズ選びを心掛けるようにしましょう。
おすすめトレランシューズ
SALOMON ULTRA GLIDE
HOKA SPEEDGOAT 5
おすすめランニングパンツ
トレラン用のパンツは、普通のランニングパンツにくらべて足上げがしやすく、行動食等を入れるポケットが多めについています。また、インナー付きとインナー無しのタイプがあり、インナー付きは楽ちん。インナー無しは下にタイツを履くなど、気温や状況に応じてアレンジができるのが便利です。
Patagonia メンズ・ストライダー・プロ・ショーツ 5インチ
THE NORTH FACE フライウェイトスピードショーツ
トレランは、基本的に春から秋がハイシーズンとなりますので、半そで&短パンが動きやすくて便利ですが、日焼けや虫刺されなどが気になるようでしたら、ロングタイツを併用しても良いでしょう。下半身の疲労を軽減するコンプレッション機能がついたタイツもおすすめです。
おすすめトレランTシャツ
Tシャツは専用品もありますが、一般的なランシャツや吸汗速乾性のあるTシャツで代用可能です。
SALOMON CROSS RUN
MS1154 4.3オンスドライTシャツ
おすすめトレランザック(バックパック)
市街地を走るランニングとは異なり、トレランのコースには自販機やコンビニなどは存在しません。そのため、都度必要となる水分や食料は自身で用意していかなければなりません。また、万一のケガに備えてファーストエイドキットなども携行する必要があるため、それらを収納するザック(バックパック)はマストアイテムです。
ザックにも色々なタイプがありますが、揺れると走りにくいのでホールド性の高いベスト型を選ぶようにしましょう。容量は10L前後のものが初心者にはおすすめです。
SALOMON ADV SKIN 12
THE NORTH FACE TR10
おすすめトレランキャップ
バックパックとあわせ、ランナーの必須アイテムと言えるのがキャップ。
キャップは、夏場の熱中症対策はもちろんですが、汗が目に入るのを防ぐのに役立つということを知らない方が意外に多いもの。滴り落ちてくる汗を拭くのって地味に疲れる作業なんです。
もちろん足場の悪いコースを走るトレランの場合、視界を確保するためにつばの短いキャップがオススメ。汗っかきの方は、ヘアバンドとキャップを組み合わせることで、汗の滴りを防ぎつつ、キャップの汗汚れなども抑えることができます。ただし、通気性が確保できるような素材を選びましょう!
THE NORTH FACE TRレーシングキャップ
milestone original cap
おすすめソフトフラスク
続いては、バックパックの常備品とも言えるソフトフラスクをご紹介します。
ソフトフラスクってあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、端的に言ってしまえば水筒なのですが、
中身の容量が減るごとに体積が小さくなるボトル
で、ランニングや登山など荷物の体積を小さくしたい時に最適な柔らかいボトルです。
トレラン中の水分補給は必須ですが(嫌でも喉は渇きますので)、中身が減っていくのにボトルが大きいままだと持ち運びは不便ですし、ザックの容量も限られているので、できれば水分補給ボトルも折りたたみたいところ。
そんな悩みを解決してくれるのがソフトフラスクなのです。
ザック内の体積を減らすことはもちろん、
ボトルを取り出すことなく水分補給ができる
というなんともプロっぽいことができる点も満足度を高めてくれるでしょう。
SALOMON SOFT FLASK 500ML/17OZ 42
NATHAN ソフトフラスク
山岳アクティビティならではの装備も必要
上記では、主にトレラン基本装備をご紹介しましたが、やはり
山岳アクティビティである以上は山の装備も必要
ということで、遭難はもちろん怪我などをしないためにも揃えておきたい便利アイテムをご紹介いたします。
ただ便利アイテムとは言えど、マストと言っても過言ではないくらいのグッズですので、「初心者なんでそんな専門的なアイテムはいらない」などと思わず、しっかりと揃えておくのが良いでしょう!
スマートフォン
山の写真撮影に欠かせない・・・というのもありますが、ヤマレコやYAMAPなどの地図アプリのほか、緊急時の連絡ツールとして、もはやトレランにはなくてはならない装備のひとつです。山の中では電波が届かない場所も多いのですが、事前に電波マップを確認できるキャリアなどもありますので、
走るコースの電波状況を事前に確認しておく
ということを意識しておくと良いでしょう。
レインウェア
山の天気は変わりやすい!ということは皆さんもよくご存じのはず。
悪天候が予想されるなか、予定を強行して事故に繋がることも珍しくありませんので、初心者の方は計画を中止するくらいの気持ちを持つことが大切です。
晴れ予報でも急に土砂降りになることもある
という点ではレインウェアは必需品。
トレラン中の雨は、一気に体温を奪って低体温症などのリスクも高まりますので、どんな状況であれ、ザックに1枚は入れておくと良いでしょう。レインウェアを選ぶポイントは、軽量で透湿性が高いものがオススメです。
mont-bell バーサライト ジャケット
THE NORTH FACE ストライクトレイルフーディ
行動食(補給食)
トレランに限らず、スポーツは体内のエネルギーを消費するため、個人差こそあれど、いずれはスタミナ切れを起こして体が動かなくなってしまいます。そんな時に重宝するのが、サクッとエネルギーをチャージできる行動食。
バナナなんかはその代表的な食品のひとつではありますが、近年ではこうしたアクティビティに合わせて、効率よくエネルギーとなる糖質を摂取できるエナジージェルやスポーツ羊羹、グミ、シリアルバーといった「レース用補給食」が多く販売されています。
あまりお腹が空いていないから食べない
というのは山ではご法度!
「シャリバテ(ハンガーノック)」という言葉があるように、体のガス欠は絶対に避けるように心がけましょう。逆に行動食をしっかり準備している人ほど、「山の怖さを知っている」と経験者ぶることができます(笑)。
アミノバイタル アミノショット
井村屋 スポーツようかん
ヘッドライト
万が一、日没までに下山できなかった場合に心強いアイテムとなるのがヘッドライト(ヘッドランプ)です。超長距離のレースでもなければヘッドランプを付けて走ることはないとは思いますが、道に迷ってしまった場合や暗がりの道などでの不安を和らげるアイテムとして持っておくと良いでしょう。
Petzl アクティック コア
ファーストエイドキット
ケガに備えて簡単な応急処置ができるファーストエイドキット。
絆創膏などだけでなく、虫除けやポケットティッシュ、胃薬から鎮痛剤、冷湿布や登山用テーピングなど、あったら助かりそうなアイテムをバッグに入れて揃えておくと良いでしょう。
GPS付きウォッチ
GPSや時計機能などの多くは全てスマートフォンに備わっているか、専用アプリで代替可能ですが、スマホだと走りながらの確認がしにくいうえ、
GPS系アプリは比較的バッテリーを消耗やすい
ので、頻繁にスマホを確認するのは避けた方が良いでしょう。
iPhoneの場合、GPS使用時は低電力モードでバッテリー消費を抑える方法もありますが、画面がすぐにスリープになってしまうため、確認したい時にすぐに見れないという煩わしさがあります。そんな時に重宝するのがGPS付きウォッチです。
GPS付きウォッチは、その名の通り時計やGPS機能はもちろんのこと、ペースコントロールやアクティビティデータを管理するうえで欠かせない
心拍数や血中酸素濃度などの計測ができる優れもの
スマホアプリのそれとは異なり、最近の光学心拍計の精度は高いので、光学心拍計を搭載したGPS付きウォッチの購入がオススメです。ただ、機能が充実するほど価格も高額となるため、初心者でランニングウォッチを持っているのであれば、最初のうちはそれで十分です。(スマホと連動させるタイプはスマホバッテリーの消費に注意してください。)
また、ロングトレイルや険しい山岳コースを走るくらいのレベルに達したら、スマホのバッテリーが切れても位置やルートを確認できるよう、地形図を表示できるようなGPSウォッチの購入を検討すると良いでしょう。主な機能としては、上述の光学心拍計のほか、加速度・気圧高度計・コンパス・ジャイロスコープなどの機能を備えたGPSウォッチがオススメです。
COROS PACE 2
GARMIN ForeAthlete 745
GARMIN Enduro 2
いかがでしたか。
トレイルランニングに限らず、海や山といった自然と掛け合うスポーツアクティビティを楽しむためには、最低限の知識と準備が必要だということを認識することで、充実したスポーツライフを満喫できるようになる、ということを覚えておきましょう!