キャップ野球の醍醐味「超変則魔球」が生まれる原理マグナス効果とは
こんにちは!
スタッフcです。
これまで何回かに渡りご紹介してきました話題の新しいチームスポーツ「キャップ野球」。
その魅力や基本ルールなどはすでにご紹介してきたとおりで、Tplantブログの読者の方も実際にペットボトルキャップを試しに投げてみた方も多いのではないでしょうか?
そんなキャップ野球の最大の魅力でもある「魔球」
魔球と言われると、その秘密について紐解いてみたくなるのが人間心理ではありますが、
- なんであんな変則的な変化をするの?
- 浮き上がるなんて重力に逆らってるじゃん!
- 実際に投げてる側もその変化を理解してないのでは?
などなど、さまざま疑問が生じるところではあります。
もちろん、キャップ野球というチーム戦の観点では、
その変則的な軌道を描く魔球を攻略する必要
があるので、その常識では考えられない変化を見せるペットボトルキャップの軌道を予想・イメージできれば、打率も上がってチームの勝率も上がるというもの。そんな勝敗のカギを握る変則軌道の魔球は、
そもそもどうやって投じられているの?
という投球方法については、Youtubeなどで詳しく紹介されているのでそちらを参考にしていただければと思いますが、今回の記事で取り上げたいのが、
なんでペットボトルキャップだけは変則的な軌道を描くの?
という少々視点を変えた内容を掘り下げて見ていきたいと思います。
っと、その前に、実はもうお気づきの方も多いかもしれませんが、キャップ野球は守備や走塁が占める割合が小さいため「いかに打者を抑え、投手を攻略するか?」が勝敗のカギを握る!・・・といっても過言ではありません。つまり、ペットボトルキャップが描く
変則的な軌道パターンがある程度予想できたら最強じゃない?
という観点で、どうしてペットボトルキャップだけが常識を覆すような変化を見せるのか?そこにはどのような物理効果が発生しているのか?というのを紐解いていくのが今回のテーマ。キャップ野球のピッチャーから投じられるペットボトルキャップには、
皆さんも驚くような流体効果が発生している!
ということを知っておくだけで「打率が1割くらい上がるかもしれません!」ので、ぜひこの変則的な変化が発生する原理を理解して、打撃練習に活かすようにしましょう。
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流体や揚力といった物理の原理が関わるペットボトルキャップの軌道
さてさて、キャップ野球の変化球の第一印象は
エグイ変化
ということで、野球のボールの軌道と比べると明らかに変化が大きく、多くの人がこれまで見たことがない軌道を描くことで、自分でも投げてみたいと思いますし、打ってみたいという気持ちに駆られます。
野球のボールと同様、キャップ野球にも様々な球種がありますが、唯一大きな違いがあると言えば、キャップ野球には
大きく浮き上がる球種が存在する
という点です。
野球にも、「ホップする」という表現があるようですが、これはあくまで「浮き上がるように見える」という感覚的なもので、重力の法則からするとよほどの球速(人が投じられるレベルの球速ではないですが・・・)がない限り、投じられたボールが浮き上がるということは起こりえません。
また、野球と似たスポーツのひとつである「ソフトボール」においては、野球の投球方法とは違って腰下から投じられるため、打者の手前でで浮き上がるように変化する球種「ライジングボール(ライザー)」がありますが、これもまた浮き上がるように感じるレベルですが、
キャップ野球には明らかに浮上するライザーが存在するのです。
ちょっと、どうなってるのこれ???
というのが第一印象ですが、まずこの浮き上がる原理を知るためには
マグナス(マグヌス)効果を理解する必要
があります。
っとその前に、さらに言うと「変化球が変化する理由」も知っておく必要がありますが、ここでは要約してポイントだけをお伝えすると、ピッチャーから投じられたボールの様々な回転によって、
- ボールの周りの空気の流速が非対称となる
- 様々な回転によって進行方向を変える力が生まれる
- ボールの進行方向に対して背後の空気も乱流が生じる
つまり、ボールの回転と様々な空気抵抗などが絡み合って、カーブやシュートなどを投じることができるという訳ですね。このように、回転しているボールが空気の流れに触れることで
ボールの進行方向をそらす効果をマグナス効果
と呼びます。
これはあくまで野球上の説明でしたが、もっと詳しく流体力学的な観点で掘り下げると、
回転しながら進む物体の進行方向に対して、垂直の力(揚力)が働く現象
のことで、その揚力の大きさは流速と物体の回転角速度に比例します。
ご存じのとおり、揚力とは上向きの力のことで、飛行機が飛ぶ原理は簡潔に言うと翼の形状によって揚力を得ることができるからですね。この原理と同様、ペットボトルキャップも
回転させて投じることでマグナス効果を発生
させ、様々な変化が生じさせていることになります。
もちろん、ペットボトルキャップの回転が大きいほど、得られる揚力も大きくなるため、マグナス効果による垂直方向へ浮き上がる力も大きくなるわけですね!
キャップ野球において、みんなが「すげ〜」と驚くほどの魔球に対するインパクトは、
投じるペットボトルキャップの回転数に比例する
と言っても過言ではないかもしれません(笑)。
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マグナス効果を理解して重力の法則を無視する超魔球を攻略しよう!
上記では、マグナス効果の概要とキャップ野球における効果お伝えいたしましたが、投じられるキャップは、
- キャップそのものが軽いという点
- 球速がそもそも早くないという点
などから、空気抵抗による変化を受けやすくため、
野球のボールとくらべて変化量が多い
という点も特徴も押さえておく必要があります。これは、マグナス効果だけでなく、流体周辺の圧力が低くなることで周囲の物質を引き付ける現象「ベルヌーイ効果」なども影響してています。
「ベルヌーイの定理」については別の記事でご紹介したいと思いますが、マグナス効果とも密接な関連性があるので、今回は参考となる動画のご紹介だけにとどめておきます。
上記でもご紹介したように、キャップ投げによって魔球のように大きな変化が得られるのは
- キャップの回転量
- 空気抵抗
によってマグナス効果が発生するためで、逆を言うと
まっすぐに伸びるストレートを投じるのが難しい
ということも言えます。
キャップ野球の投球は、指でキャップをはじくように投じるといった基本フォームがありますので、
投げられたキャップは必ず回転している
ということを理解しておく必要があります。
また、野球のボールは正円の球体ですが、ペットボトルキャップは円柱であり、円柱の上面と下面とでは必ず空気の流速に差が生じ、上方向の力(揚力)が発生しやすいというボールの形状的な特徴も理解しておく必要があります。
これがまたキャップ野球の面白い点のひとつで、例えば右利きの人がキャップを投げると、右手の中指で弾くようにキャップを投げるので
キャップは左回りの回転(反時計回り)
になるのに対して、左利きの人であれば時計回りの回転が掛かります。
それだけでも投じられたキャップが描く軌道が変わりますので、右投げ・左投げそれぞれで各球種の対策が必要になると言っても大げさではないのです。右投げの人が投げるカーブと左投げの人が投げるカーブとでは、
その軌道も変化量も変わってくる・・・
なんて、ちょっと想像もつかないですね。
今回は、魔球を大量生産するキャップ野球の原理と称し、そのメカニズムとしてマグナス効の基礎を簡単にご紹介しましたが、流体力学的な観点ではもっと奥が深い原理であり、マグナス効果に関連する幾つかの興味深い定理も存在しますので、その辺は今後「理系」記事で取り上げていくことにしましょう!
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