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巨大なダム

治水インフラの王様「ダム」巡りの魅力とダムの基礎知識

Staff B / 2023年10月10日

水害増で注目度アップ!治水インフラの王様「ダム」巡りの魅力


こんにちは!スタッフbです。



2023年の夏も酷暑と言えるほど気温の高い日々が続きましたが、9月に入ってからは多少その暑さも和らぎ、朝晩は過ごしやすくなりつつあります。ただ、日中はまだまだ夏を感じさせる陽気であり、「秋らしさ」が本格化するのはまだ先のお話となりそうですが、


秋と言えば、何といっても行楽シーズン!


って、スタッフb的には「食欲の秋の方でしょ?!」とツッコミが入りそうですが、これまでの厳しい暑さによって何かと制限されてきたアクティビティが再開できるので、個人的には秋が一番好きな季節と言えます。


さて、秋の行楽と言えば何といっても紅葉


日本の四季を明確に感じることができる大自然の衣替えは、それだけで一大イベントとなるほどで、


春の桜、秋の紅葉は日本の文化


と言っても過言ではありませんが、最近では日本の気候も東南アジアのような亜熱帯気候に近づきつつあってか、あまり秋を感じられなくなっているのが実情・・・、秋の季節を満喫できる時間も、ひと昔前とくらべるとかなり短くなっているかもしれませんので、お仕事はそっちのけで、色々なところへ出かけるのが吉!と言えます。


さて、そんな秋の紅葉シーズンですが、皆さんは


紅葉を満喫できる場所っていったらどこを想像しますか?


もちろん自然豊かな山々を想像された方が多いかと思いますし、紅葉ハイキングという言葉があるくらい、紅葉巡りとハイキングはセットのようなイメージがありますが、実は近年人気が高まっている


紅葉スポットのひとつとして「ダム」の人気が高まっている


というのはご存じでしょうか?

そう、あの雨水などを貯水するダムですが、実はダムもまた紅葉との親和性が高く、


観光資源としても用いられているダムが全国に多数ある


のです。


多かれ少なかれ、映像などでダムを見たことがある人が多いなか、実際に行ったことがある人となるとかなり限られてしまうのが実情。ただ、最近ではダム単体を見に行くより、紅葉名所としてダムが注目されつつある点、そして近年全国的に増えつつある


様々な水害によってダムの機能が注目度されている


といった背景もあり、ダム巡りに関心を持つ人が増えているのです。


今回は、そんな治水インフラの王様と言われる「ダム」の基礎からダム巡りの魅力まで、ダムに関する様々な基本情報をご紹介。以前、当ブログ記事▼水門って知ってる?~写真映えする都内の魅力的な水門スポットで取り上げた水門もまた治水インフラの一種ではありますが、今回はその治水の大元「ダム」についてフォーカスし、その魅力を余すとこなくご紹介していきます。


ダムの魅力はその大迫力の放水だけだと思っていませんか?


この記事で、全国に多数ある観光ダムの楽しみ方を学び、ぜひ秋の行楽シーズンで足を運んでみてはいかがでしょうか?


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意外と知らないダムの種類とその役割を知ろう

さて、漠然としたイメージはあってもその機能や役割については、イマイチ理解できていない「ダム」。


多くの方のイメージでは、大雨などの際に一時的にダムに雨水を貯水して、川の氾濫を防ぐ役割を持っているのがダムといったところかもしれませんが、まずはダムの理解を深めるうえでも、ダムの主な機能について見てみましょう。


1,治水・洪水調節

多くの皆さんが持つダムの機能のイメージが治水でしょう。

治水という言葉自体、あまり馴染みがないかもしれませんが、雨などによって増量する川の水量を調整し、下流で洪水や氾濫が起こらないように放流調整するのがダムの大きな役割のひとつです。


2,利水・水資源の活用

ダムは単に水を溜めているだけではなく、農業用水や工業用水として活用されます。雨不足などで農地が渇水した場合などは、ダムから農地用水として水が供給がなされたり、その水が水道用水として活用されます。


3,水力発電への活用

ダムに溜めた水を川に流す際に発生する勢いでタービンを回し、電気を作り出しています。すべてのダムに設置されている訳ではありませんが、落差の大きいダムほど作れる電力が大きくなるのが特徴です。


その他にも、河川環境の整備・親水といった機能などもありますが、主だった機能としては上記のとおりで、実は意外にも


皆さんの日常生活に深く関わり合いのある機能


をになっているのです。



続いてはダムの種類について見てみましょう。

これまた意外かもしれませんが、「ダム」と呼ぶ建造物には


流水などを貯留するために設置された構造物で高さ15m以上のもの


といった明確な定義があります。

定義的には国によって多少の違いがあり、日常的には高さ15m未満のものでもダムと呼ぶことがほとんどですが、15m未満の建造物は堰堤(えんてい)と呼ばれ、堰堤には貯水機能がなく、水力発電も行うことができません。


さらにダムにはその形状によって種類が分かれ、


そしてその形状が人気スポットとなるか否かの命運が分かる


といっても過言ではありません。


1,アーチ式コンクリートダム

ダムを想像した時に一番多くイメージされるのがこの形で、垂直のコンクリート壁が切り立つ形状が特徴。ダム全体が円弧形状となっており、そのアーチを活かして水圧を分散し、両岸でダムを強度を確保しています。ダムの横幅が大きく存在感はピカイチです。


2,重力式コンクリートダム

日本のダムでもっとも多い形状がこの重力式ダムで、ダムの自重だけで水圧に対する強度を確保している重厚感があるのが特徴。ダム自体の横幅がアーチ式に比べると短いため、放流の際に放水口付近まで近づいて見学できるのが最大の特徴。


3、アーチ重力式コンクリートダム

アーチ式と重力式の2つのタイプを組み合わせたタイプのダム形状で、特に大型ダムに用いられることの多い方式。アーチ式は地盤が強固な場所にしか設置できませんが、重力式のメリットを活かし、地盤問題をある程度クリアさせたタイプのダム。


4、ロックフィルダム

岩石や土砂を積み上げて建設するダムで、フィルダムとも呼ばれます。ダムの中心部には水をせき止めるコアと呼ばれる土があり、そのコアを取り囲むように水の力を受け止める岩を設置した自然の景色に溶け込むような形状が特徴です。


5,中空重力式ダム

基本的には、重力式コンクリートダムと同様に水圧をダムの自重だけで支えていますが、その名の通りダムの中を空洞にすることで使用するコンクリートの量を節約しいるのが特徴。外見的には分かりませんが、重力式より強度が劣るため大型ダムには不向き。


その他にも、アースダムやバットレスダムなどの形状があり、ダムの規模や用途、建設される土地の地盤などによって、どのタイプのダムが採用されるかが判断されるため、その場所場所でしか見られない唯一の景色が、全国各地で織り成されていくのです。


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さて、ダムの基礎知識を身につけたところで、実際にダムの魅力・見どころについて幾つかご紹介していきましょう。

 

ダムそのものは当然、建造物としては相当大きな施設となりますので、その存在感や迫力はもちろんのこと、展望台などが設けられているダムなどは、ダム周辺の山々の壮大な景色を楽しむことができます。言うまでもなく、カメラにその景色を収めたいという人は多いですし、

 

特に紅葉の季節などは木々の色づきを愉しむ

 

ことができるでしょう。

 

近年、紅葉スポットとして人気が高まっているダムを幾つかご紹介しましょう。

 

≪長野県・箕輪ダム≫

長野県・箕輪ダム

天竜川の支流・大沢川に設けられた高さ72メートルの重力式コンクリートダムで、貯水されるダム湖の名称が「もみじ湖」と名付けられているとおり、約1万本の赤く染まったもみじが湖沿いに広がります。紅葉の見どころは、例年10月下旬~11月上旬ごろで、シーズン中は周辺道路の渋滞が激しいので、早め早めに行動するのがポイント。


≪富山県・黒部ダム≫

黒部ダム

全国的にも知名度の高い立山連峰の山岳ルートである立山黒部アルペンルート。その黒部を流れる黒部渓谷の上流に建設された水力発電用ダム。1963年に完成した高さ186mのアーチ式コンク リートダムで、日本国内では最大規模。黒部ダムの見どころは、なんと言ってもダム天端(てんぱ)や展望広場から見下ろす毎秒10tにも及ぶ観光放水です。


ちなみに、全国のダムにおいては既に観光資源として用いられていることも多く、定期的に観光放水が行われるダムも少なくありません。ダムの魅力は、何と言ってもその大迫力の放水となりますが、この放水にも


目的に応じて呼称が異なり、吐出される放水口も異なる

(※ダムの種類や規模によりますが)


という点を知っておくと、ダム通に近づくことができます。


【洪水吐】(こうずいばき)

ダムで貯水された湖の水を下流に流すためのゲートで、水量調整の目的で放水が行われます。洪水吐には「常用洪水吐」と「非常用洪水吐」の2種類があり、通常は常用洪水吐から放水されますが、常用洪水吐では捌ききれないほどの大きな洪水時には、非常用洪水吐が用いられます。


≪宮ケ瀬ダムの常用洪水吐と非常用洪水吐≫


上記動画の放水が行われている放水口が常用洪水吐、躯体最上部の3つのゲートが非常用洪水吐です。最上部の3つのゲートから放水が行われる状況って、あまり想像したくないのが本音(汗)ですけどね・・・


【余水吐】(よすいばき)

ダムで貯水された余剰の水を放流する目的で設けられるゲートで、洪水吐と明確に区別されている訳ではありませんが、ダム施設によっては洪水吐ゲートと余水吐ゲートが分かれている場合もあります。


≪世にも珍しい形をした「青土ダムの余水吐」≫


これらのように、全国に多数あるダムによって放水時の迫力は千差万別、またダムそのもの構造や放水口の形状によって、様々な水の流れを楽しむことができるのもダムの魅力とも言えるでしょう。個人的にお気に入りなのが、


岐阜県は庄内川の支流・小里川ダムの洪水吐


どうです?この純白ドレスのような洪水吐。

ダムの放水は、その大きさや迫力だけが魅力ではなく、こうした特殊な構造が作る水の流れや、融雪放流のようなその場所ならではの放水形態が、ダム通を魅了してやまないのです。


大迫力の洪水吐については、また別の記事で取り上げますが、まずはダムの魅力の基本

をしっかりと押さえつつ、自分好みのダムの構造や洪水吐の形状、そして自然と融合したロケーションを見つけ出すのもまたダム巡りの醍醐味かもしれません。


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オシャレとお酒に目がない意識高い系アラフォー女子。人一倍こだわりが強く妥協が許せない性格。お給料の大半を洋服やコスメといったドレスアップに浪費するも、最近は着飾って出掛けるところがないのが最大の悩み。リモートワークを邪魔してくる愛猫との縄張り争いが耐えない毎日を過ごす。