レジ袋よりペットボトル?!懸念広まる海洋プラスチックごみ問題
世界的な情勢不安定で燃料や資源などの価格が高騰。
世界中で物価高が進むなか、私たちの生活にも徐々にその影響が見られつつあります。
先日も何気なくガソリンを満タンにしたら、なんと8,000円近くも掛かって・・・
セルフで入れているメリットがほとんど感じられないほど、ガソリンが高くなってるのには、ちょっと嫌気がさしてきますよね。といっても電気自動車に買い換えられるほど家計に余裕もありませんけどね(苦笑)
また、小麦や食用油も高騰しているという話で、食料品のみならずガスや電気代などの公共料金もまた値上がりの傾向。ますます旦那さんのお小遣いが削減傾向にあるのは、どのご家庭も同じかもしれません。
さて、そんな原材料価格の高騰という社会的な問題に直面するなか、さまざまな業種で取り組まれている課題のひとつに「再生」があることは皆さんもよくご存知のとおり。再生可能エネルギーであったり、再生資材であったりと、過去記事「▼みんな知ってる?サステナブル・コットン(#1)-環境面からのコットン生産の課題」でも取り上げましたが、SDGsという観点からも
限られた資源のリサイクルや再生が重要
であることは、このTシャツ業界にも同じことが言えます。
ちょっと大げさかもしれませんが、Tシャツと言えど人間の生活基盤となる衣・食・住の「衣」の一端を担っておりますので、先陣切ってこの世界的な課題に取り組む姿勢を見せることはもちろん、実際に
地球環境に配慮した再生資源を積極的に活用する
ということを業界全体で行っていく必要があります。
特に昨今世界中で問題視されているのが、ペットボトルによる海洋汚染。海洋汚染に限らず、日本でも不法に道路に廃棄されたペットボトルを見る機会が多いのではないかと思いますが、こうしたプラスティックごみは、
最終的に海に流れ着いて海そのものが汚れてしまう
だけでなく、多数のごみや化学物質が海に流れ出てしまうことで、海洋生物の生態系にまで悪影響を及ぼしてしまうことは容易に想像ができます。
身近なプラスティック製品と言えば、コンビニなどのお弁当の容器、使い捨てのスプーン・フォーク、そしてペットボトルなど「意外となくてはならないもの」であることが多く、近年ではレジ袋の有料化によって相当数の削減に成功したとの話もあります。
でも、不法投棄なんかしてないのになぜ海が汚れるの???
と感じてしまうのが本音かもしれませんが、やはりレジ袋同様にプラスチック製品そのものの数を減らすのが効果的であり、さらには使用済みプラスティックを何らかの形で再生させ、
プラスティックごみ自体を減らすというのが目先の課題
すでに繊維業界もあらゆる方面で「アステナブル」を模索していますが、今回の記事では、これら海洋汚染の大きな原因となっているペットボトルをはじめとするプラスティックごみを利用した
新素材「リサイクル・ポリエステル(再生ポリエステル)」
についてご紹介していきます。
プラスティックごみを再生させ、新たな衣料の原材料として再生させる。
そんな地球環境にやさしい取り組みが既に「実現できている」ということを知り、個人でも普段の暮らしのなかでできる環境保全について考えてみましょう。
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ペットボトルがポリエステルに?リサイクルポリエステルの仕組み
さっそくですが、皆さんの日常生活のなかでもっとも身近な存在でもあるプラスティック製品のひとつでもある「ペットボトル」。ペットボトルは、石油からつくられる樹脂製品であり、ゴミ処理する際のCo2の排出をはじめ地球温暖化などの懸念から、
日本国内では88.5%もの高いリサイクル率
※出展「PETボトルリサイクル推進協議会」
https://www.petbottle-rec.gr.jp/data/comparison.html
を誇っています。
ペットボトルのリサイクルにおいては、水平リサイクルと言われる「ペットボトルからペットボトル」への再生もあれば、カスケードリサイクルと言われる「ペットボトルから他の製品」への再生も活発で、カスケードリサイクルにおいては主に
衣類・カーテン・プラスティック成型品
などにリサイクルされています。
なかでも繊維へのリサイクルについては近年その技術が実用化され、リサイクルポリエステルとして再生されています。元々、ポリエステル自体が原材料のチップ(ペレット)を熱して液状にし、細いノズルから押し出して繊維状にしたものなので、加工工程はテレフタル酸やエチレングリコールなどを原料とするバージンポリエステルの生産工程とほとんど同じです。
バージンポリエステル:テレフタル酸とエチレングリコールが主な原料
リサイクルポリエステル:廃棄ペットボトルが主な原料
廃ペットボトルを利用するという点だけでもエコロジーを感じる部分ではありますが、テレフタル酸とエチレングリコールを原材料とするバージンポリエステルにくらべ、バージンポリエステルのほうは、
CO2の排出を40%以下に削減できる
という点でも、地球環境に優しいということがメリットとして挙げられます。
ただ、何かと再生品と聞くと「品質的には劣るんでしょ?!」と思われがちですが、リサイクルポリエステルにおいては、
バージン原料で作ったポリエステルと同等の品質
の繊維が供給されており、ポリエステルならではの
耐久性や吸湿・速乾性、そしてリーズナブルな面もそのまま
で品質を落とすことなく流通しているのです。
すでに作業着や制服などの衣服の大半はリサイクルポリエステルが採用されているほか、生産技術の向上からTシャツのような肌に直接触れる衣類にも採用されつつあります。
なお、アメリカの登山・アウトドア用品の大手ブランドである「パタゴニア(patagonia)」は、早い段階からこのリサイクル・ポリエステルによる石油依存が削減に取り組んでおり、アパレルメーカーによる再生ポリエステル製品のプロダクトの第一人者と言っても過言ではないでしょう。
パタゴニア(patagonia)~リサイクル・ポリエステル
https://www.patagonia.jp/our-footprint/recycled-polyester.html
このように、リサイクルポリエステルの採用は急速に裾野を広げつつあり、向こう数年の間には、バージンポリエステルに取って代わってポリエステル製品の主要原料となることは間違いないでしょう。
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今やポリエステルは衣服の必需品!再生ポリTシャツを積極活用しよう!
そんなわけで、繊維業界とりわけ
Tシャツ業界にも再生ポリエステルの波は押し寄せています
ということは間違いなし!
上記でもお伝えしたように、再生品と言えど化学繊維であるポリエステルならではの機能性が失われることはほとんどありませんので、Tシャツに求められる主な機能が失われることはなく、再生ポリエステル原料との親和性が高いというのがTシャツなのです。
もちろんTplantでも再生ポリエステル製品をラインナップしています。
・MS1164 5.6オンスリサイクルポリエステルTシャツ(ポリジン加工)
「地球環境に優しいサステナブルなドライTシャツ」と銘打った機能性優れた1枚。ポリエステルの唯一のデメリットでもある皮脂汚れやニオイを吸着しやすいという点においては、こちらの商品ではポリジン加工(抗菌防臭加工)が施されているので、汗をかきやすいスポーツシーンや夏のアウトドアなどにも使いやすいですよね!
もちろんスポーツ系のオリジナルTシャツのボディとしても最適!
ポリジン加工(抗菌防臭加工)については、過去記事「▼テント泊・小屋泊登山に超おすすめ!嫌なニオイを抑制する高機能Tシャツのご紹介でもご紹介しておりますので、合わせて参考にしていただきたいのですが、某ファストファッションのTシャツなんかだと
何回かの洗濯で伸びちゃうわ、ニオイは消えないわ・・・
Tシャツって毎日着るものだから、些細な品質の違いもハッキリ分かるものなんですよね!上記でピックアップした「リサイクルポリエステルTシャツ(ポリジン加工)」は、生地の厚みも5.6オンスで比較的しっかりしているので、季節問わず着ることができますし、薄手すぎてインナーが透けちゃうということもないので女性にもオススメです。
でも、いいことばっかり言ってデメリットもあるんじゃないの?
って鋭いツッコミが入りましたが、デメリットとしてはバージンポリエステル同様、
化学繊維ゆえに静電気がおきやすい
とか、こすれる部分が毛玉になりやすいなどが挙げられるくらいでしょうか?
確かに乾燥時期の静電気はたしかに不快ですが、地球環境保全・海洋汚染の抑制という大義名分のもと、多少は目を瞑ってください(笑)
いかがでしたでしょうか?
今後のTシャツ繊維の主流となるかもしれない「リサイクル・ポリエステル」
個人でもできるサステナブルの一環として、積極活用してみてはいかがでしょうか?