さっそくですが、世界一有名なネズミのキャラクターといえば、何を思い浮かべますか?
そう、米ウォルト・ディズニー社の人気キャラクター「ミッキーマウス」ですね!
大きな耳とキュートな表情のミッキーマウスは、1928年の短編アニメーション作品「蒸気船ウィリー」でデビューしました。ユーモアなあふれるコミカルな動きと音のついたアニメーションで当時の人たちを魅了し、あっという間に世界の人気者になりました。
そんな初代ミッキーマウスの著作権の保護期間が2023年12月31日に消滅し、誰でも自由に利用できるパブリックドメインとなったのです。
そこで今回はそんなパブリックドメインになった初代ミッキーマウスにフォーカスし、パブリックドメインの活用と注意点についてお伝えしていきます。無料で自由に利用できるパブリックドメインですが、安全に利用するためにはいくつかの注意点があるので、しっかり覚えておきましょう。
アメリカの著作権法について
現代においても多くのファンを生み出し続け、世界中で愛されるミッキーマウスですが、アメリカではミッキーマウスなどの著作権を守るために、幾度となく法律を改正していたのです
- 1790年 初めて米国連邦法として著作権法が制定(著作権保護期間:14年、更新延長:14 1831年 28年に改正)
- 1909年 更新延長が28年に改正(最大56年)
- 1976年 75年または著作者の死後から50年に改正
- 1998年 著作権延長法の制定(保護期間を出版から95年または創作から120年、または著作者の没後70年に改正)
著作権とは著作物を苦労して作った著作者を守るためのルールであり、不正な利用や無断使用を防いだりすることによって創作者が安心して創造的な活動に取り組むことができるようにするためのもの。国際的な著作権条約はあるものの、著作権法の内容は、保護される著作物の種類、保護期間、著作権者の権利や利用の条件などが国によって異なり、使用される国の著作権法が適用されます。
なお、技術の進歩や社会的ニーズの変化に伴うために、日本を含め、著作権法を改正している国は世界中にありますが、中でも、アメリカの1976年の改正と1998年に制定された著作権延長法は、ミッキーマウスの著作権が切れる直前だったために米・ディズニー社の著作権の守るための「ミッキーマウス延命法」と揶揄されており、アメリカの著作権法改正には米・ディズニー社が大きく関わっているのではないかと囁かれています。
というのも、著作権の保護期間を延長することは、著作権ライセンスの対価が得られ続けられるといったメリットがあります。米ディズニー社のライセンスビジネスは世界一ともいわれており、ライセンス商品の世界売上高は2022年で600億ドル(約9兆億円)超え、さらには営業利益の23%を占めているほど…[1]。
そして、それの収益はアメリカの巨額な税収になるため、保護期間に関する内容の法改正は国を挙げてNOとはいい難かったのかもしれませんね。
パブリックドメインとなったミーッキーマウス
そんな背景を持つアメリカの著作権法に守られてきた初代ミッキーマウスの著作権の保護期間が2023年12月31日に消滅し、2024年1月1日にパブリックドメインになったのです。
パブリックドメインとは、著作物や発明などの知的創作物について、知的財産権が発生していない状態もしくは消滅した状態のことを指し、これまでは勝手に利用してはいけなかった作品が、誰でも自由に利用できる状態になったことをいい、アメリカ国内においては歴史的な一幕なのです。
ただし、今回パブリックドメインとなったのは1928年のアニメ作品「蒸気船ウィリー」の初代ミッキーマウスだけなので、それ以降のミッキーマウスを使用したら著作権侵害となり、罰金や懲役といったペナルティーが科せられるために注意が必要です。
もちろん、ミッキーマウスは世界各国で商標登録されているため、結局のところ、アメリカでパブリックドメインになったところで結局は自由に使えないのでは?と思ってしまいますが、単なる絵柄であれば問題ないかと思います。
そもそもパブリックドメインとは?
パブリックドメインとは著作権の対象外である作品や情報のことを指し、具体的には次のような作品が該当します。
著作権の保護期間が終了した作品
著作権の保護期間は、著作者が著作物を創作したときに始まり、 原則として、著作者の生存している期間+死後70年間(国によって異なる)であり、その一定期間が経過すると、その作品は著作権の保護を受けなくなり、パブリックドメインに入ります。
一時、話題となった「くまのプーさん」のホラー映画も、実は初代ミッキーマウスより一足先に原作の著作権が切れたことにより公開されたもので、批判的な意見もあるものの、パブリックドメインを利用した作品はクリエイティブな活動などを促進するために重要な役割を果たす注目されています。
著作権が放棄された作品
著作権は財産的利益を守る権利であり、創作した著作者に帰属するものであり、他人に譲渡することができる権利です。著作権を持つ人が著作権を放棄すると明言することパブリックドメインに入ります。
著作権が存在しない作品
著作物とは創作的に表現したものであり、事実やデータ、アイデア、AIが生成した作品など著作権の対象外でです。これらの作品はすべての人が自由に利用できます。
パブリックドメイン画像を使用する際の注意点
パブリックドメイン画像を安全に利用するにはいくつかの注意点があります。ここではパブリックドメイン画像を使ったオリジナルTシャツを製作する際の注意点をご紹介します。
画像の確認
パブリックドメインであることを確認しましょう。インターネット上には、パブリックドメイン画像を検索できるサイトがありますが、中には著作権を侵害している画像が公開されている場合もありますので、信頼できるサイトを利用することはもちろん、誰によって、いつ創作されたものか、著作権のステータスを確認しましょう。
画像の加工や改変は避ける
著作権には保護期間とは別に、創作者の意に反して勝手に加工、改変、表現をしてはいけないという「著作者人格権」が存在します。もし、創作者が不快になるような表現をすれば、訴えられる可能性がありますので、パブリックドメイン画像を利用する際には加工や改変は控えましょう。
二次的著作物に注意
二次的著作物とは、パブリックドメインとなった作品を利用して、新たに作り出された作品のことを指します。パブリックドメインである作品の利用は自由ですが、二次的著作物には新たに著作権保護期間が適用されるので注意しましょう。
画像掲載サイトの規約を確認
パブリックドメイン画像掲載サイトの画像を利用する場合には、利用規約を確認しておきましょう。商用利用に関することなど、画像の利用に関する注意点が記載されています。オリジナルTシャツのプリントデザインに使う際に関わりますので、必ず目を通しましょう。なお、画像ごとに注意点が書かれている場合もありますので、それぞれ確認することをお忘れなく。
なお、パブリックドメイン画像を検索できるサイトには、パブリックドメイン画像以外にも、誰でも自由に利用できる「フリー素材」や著作権利用料が無料という「ロイヤリティフリー」といった著作物もあるため、その扱いを間違わないようにしましょう。
クレジット表記の必要有無
商用利用が可能なパブリックドメインですが、利用する場合はクレジット表記が必要な場合もありますので、クレジット表記の有無は必ず確認しましょう。
著作権の保護期間が終了したばかりの場合
保護期間とは著作者の死亡した年もしくは著作物が公表・創作された年の翌年1月1日から起算し、最終年の12月31日まで続きますので、死亡した日から起算してしまうと著作権侵害になってしまいますので、著作権の保護期間終了後、間もない場合は注意が必要です。
日本の著作権法について
日本の著作権法では、2人以上の者が共同して創作した著作物(共同著作物)の場合、最後に死亡した著作者の死後から起算して著作権を保護することになっています。ミッキーマウスでたとえると、ウォルト・ディズニー氏とアブ・アイワークス氏との共同著作物であるため、アブ・アイワークス氏のほうがウォルト・ディズニー氏より5年長く生存していたために、アブ・アイワークス氏が亡くなった翌年から起算されることになるのです。
実名(周知の変名を含む)の著作物 | 死後70年 |
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無名・変名の著作物 | 公表後70年(死後70年以内に公表されなければ、創作後70年) |
団体名義の著作物 | 公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年) |
映画の著作物 | 公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年) |
パブリックドメイン画像を利用して創造を楽しもう
初代ミッキーマウスがパブリックドメイン入りしたのなら、ぜひそれを利用してオリジナル商品を作ってみませんか?ここでは、パブリックドメインになった画像を使ったTシャツやパブリックドメインを検索できるサイトをご紹介していきます。
パブリックドメインを使ったデザインTシャツ
初代ミッキーマウス
1928年公開の「蒸気船ウィリー」の名シーン!現在のかっこいいミッキーマウスに比べて、かわいらしい印象の強い初代ミッキーマウスは、どこに配置しても存在感がありますね。
Tシャツに限らず、バッグや帽子などのアイテムにもおすすめです!
バッグス・バニー
ワーナーブラザーズのアニメの看板キャラクターであるバッグス・バニーは、1940年にデビューしているため、こちらの古い作品も日本においてはパブリックドメインになっています。バッグスらしい、なんともいけすかない表情がたまらないですね。
真珠の耳飾りの少女
バロック期を代表する画家の1人、ヨハネス・フェルメールの口元にかすかな笑みを浮かべた少女がプリントされたTシャツです。カジュアルなデニムを羽織っても、知的な印象に仕上げてくれます。
冨嶽三十六景
日本を代表する江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎の「冨嶽三十六景」シリーズの1つでありもっとも有名な「神奈川沖浪裏」がプリントされたTシャツです。
パブリックドメイン画像を検索できるサイト
このようにパブリックドメイン画像には世界的な名作が様々あります。検索できるサイトもいくつもありますので、ぜひオリジナルTシャツ制作に活用してみてください。
美術館・図書館
素材
いかがでしたか。
著作権の保護期間については少々複雑ですが、世界的な名作などのパブリックドメイン画像を利用して、新たなオリジナルTシャツを作ってみてはいかがでしょうか。
脚注
- Statista, Chart: Licensed Merch: Disney the Clear Number 1, 2024-03-19, https://www.statista.com/chart/11509/top-10-merchandise-licensors/
- 著作権は永遠に保護されるの? | 著作権って何? | 公益社団法人著作権情報センター CRIC, 2024-03-19, https://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime3.html