シュレーディンガーの猫

シュレーディンガーの猫?量子力学の不思議な世界とデザイン

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突然ですが、みなさんがオリジナルTシャツを作ろうとしたとき、デザインのモチーフとするものの多くは、身近に存在するものや興味のあるものなど、基本的に自身の「日常」が含まれることが多いのではないでしょうか?

例えば、自然やアウトドアが好きな方なら山や海や渓谷、車好きの方なら自動車やパーツ、スポーツ好きであればそのスポーツの動きや道具など。そのデザインの中心的な思想や作品背景において、日常的に携わっているからこそデザインのイメージが湧きやすいという側面があるかと思います。

その反面、身近にあるものだからこそ、「在り来たりのデザインになりがち・・・」という悩みもありますよね。

そんな時、身近には存在しないもの、目には見えないもの、イメージしにくい理論や抽象的な概念などにフォーカスしてみませんか?他にはない、独創的なデザインアイデアが思い浮かぶかもしれません。

そこで、今回ご紹介するのが、最近注目が高まっている量子力学。なかでも量子力学における思考実験をモチーフとしたデザインとオリジナルTシャツを中心にピックアップしてみます。

シュレーディンガーの猫?量子力学の思考実験がそのままTシャツに

さて、前置きが長くなりましたが、本題に入る前に「そもそも量子とはなんそや?」について簡単に話しておきましょう。

量子とは、粒子と波の性質をあわせ持った、とても小さな物質やエネルギーの単位のことです。物質を形作っている原子そのものや、原子を形作っているさらに小さな電子・中性子・陽子といったものが代表選手です。光を粒子としてみたときの光子やニュートリノやクォーク、ミュオンなどといった素粒子も量子に含まれます。
 量子の世界は、原子や分子といったナノサイズ(1メートルの10億分の1)あるいはそれよりも小さな世界です。このような極めて小さな世界では、私たちの身の回りにある物理法則(ニュートン力学や電磁気学)は通用せず、「量子力学」というとても不思議な法則に従っています。

つまり、量子とは原子レベル以下の小さな物質やエネルギーの単位のことを意味し、その量子の世界における物理法則を扱う学問のことを量子力学と言います。

量子の世界は私たちの想像を超える不思議な性質に満ちており、その性質の一つに重ね合わせという概念があります。

重ね合わせとは、2つの状態が共存している状態のこと。
言い換えると、状態Aである可能性も状態Bである可能性もあるという状態です。

そして、その重ね合わせ状態は観測によってどちらかの状態に確定する。

このような量子力学の標準的な解釈のことをコペンハーゲン解釈と呼びます。

ちょっと理解し難い概念ですね・・・「観測するまで物事の状態は確定しない。」
そんなことってある?

って思いますよね。

そこでシュレディンガーの登場です。

オーストリア出身の理論物理学者エルヴィン・シュレディンガーは、コペンハーゲン解釈への反論として1935年にある思考実験を提唱しました。

それがかの有名なシュレーディンガーの猫なのです。

実験の内容を超ざっくりと説明すると、

  • 中が見えない箱の中に、50%の確率で毒ガスを発生させる装置と猫を入れる
  • 箱を開けるまで猫が死んでいるか生きているかは分からない
  • 箱を開けるまでは、猫が死んでいる状態と生きている状態の2つの状態が重なっている
  • 猫の生死は箱を開けた時点で決定する

残酷極まりない設定ではありますが、あくまでも想像上の実験ですのでご安心ください。

さらに詳しい内容について知りたい方は、「シュレーディンガーの猫」で検索すればいっぱいヒットしますので是非ググってみてください。

参考リンク:
「シュレーディンガーの猫」って結局どういう話なの? モヤモヤする部分を解説! - ナゾロジー

それでは早速、デザインを見ていきましょう。

特に難しい方程式が盛り込まれている訳ではなく、あくまで猫にフォーカスしたデザインで、量子力学にさほど興味がない人にもウケやすいデザインと言えるでしょう。

もう少しデザイン例を見てみましょう。

中心の猫を SCHRODINGER'S CAT, DEAD, ALIVE の文字列とシュレーディンガー方程式が囲むシンプルなデザイン。

ステッカーに良さそうですね。

次はシュレーディンガーの猫をデザインしたTシャツ。

シュレーディンガーの猫Tシャツ
出典:ebay

黒Tシャツに白1色のシンプルなデザインが良いですね。

白文字のALIVEに、黒抜きのDEADを重ね合わせている所にセンスを感じます!

続いては枕カバー。

シュレーディンガーの猫の枕カバー
出典:TEEPUBLIC

猫とシュレーディンガー方程式を重ね合わせています。

この枕で寝れば安眠できること間違いなし…ですね 笑

いかがでしょう?

実験の設定とは裏腹に、知的でポップでユーモアに溢れたデザインが多いと思いませんか?

量子の世界は、私たちが認識する世界とは異なる摩訶不思議な世界。

その世界に思いを馳せるからこそ、ユニークなデザインアイデアが生まれるということに着目していただければと思います。

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様々な理論や法則がデザイン化される量子力学

シュレーディンガーの猫以外にも、量子力学ないしは物理学においては様々な思考実験が存在します。
デザインのモチーフになりそうな思考実験をいくつか紹介しましょう。

ウィグナーの友人

シュレーディンガーの猫を観測者である人間にまで発展させた思考実験。
詳しくは下記のYoutube動画を参考にしてみてください。

動画の中で野本氏のオリジナルTシャツも紹介されていますが、こちらも素敵なデザインなので是非チェックしてみてくださいね。

≪のもと物理愛≫

ハイゼンベルクの顕微鏡

電子の位置と速度を測定するために「ハイゼンベルク」が考えた思考実験。

ドイツの理論物理学者ハイゼンベルクは、31歳の若さでノーベル物理学賞を受賞した若き秀才で、不確定性原理という定理で知られます。デンマークの物理学者「ニールス・ボーア」と並び、量子論の育ての親とも呼ばれています。

ガリレオの船

物理学者「ガリレオ・ガリレイ」によって提唱された思考実験。

これは物理学を特に学んでいない人でも知っている人が多いのではないかと思いますが、アリストテレスの天動説に対して地動説を主張するための思考実験でした。

マクスウェルの悪魔

物理学者「ジェームズ・クラーク・マクスウェル」が提唱した思考実験。

エントロピー増大の法則に関する思考実験なのですが、解決までに150年を要するほどの壮大なスケールになるので、また別のコラムで取り上げたいと思います。

こうした数々の思考実験が生まれた背景やエピソードを知れば、理系でなくてもきっと興味が湧くのではないでしょうか。

物理学、とくに量子力学は、一般の私たちにとって理解し難い学問であることは間違いありません。
しかし、理解し難い不思議な世界であるからこそ、デザインの可能性も広がるのだと思います。

日常だけではなく、非日常にもデザインのヒントはいっぱいある。

そう感じていただけたら幸いです。

見えないものを表現しようとする力こそが、デザインを生み出す力であるとも言えますしね。

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Staff B
Staff B

一度きりの人生を思いのまま生きている、飽くなき探究心が原動力のサブカル系アラフォー女子。流行に左右されず、趣味もファッションも独自路線を進み続けているため同世代の友人は少ないもものの、気の合う仲間とハイボールで乾杯するのが何よりの楽しみ。最近は奇岩と巨石にどハマり中!多趣味であるが故の金欠が最大の悩み。