チンパンジー

ヒトとチンパンジーのDNAはほぼ同じ?!ヒトと類人猿の違いについて

Staff C / 2024年9月17日

私たち人間とチンパンジーは、外見も行動も全く異なるように感じます。しかし、そのDNAの遺伝情報の違いはわずか1.2%しかないのです。

驚くべき事実ではあるものの、約98.8%が同じにも関わらず、どうしてヒトとチンパンジーはこんなにも違うのでしょうか。

そこで今回は、DNAの遺伝情報(ゲノム)の僅かな差がもたらす、ヒトと類人猿の違いについて詳しく探ります。


ヒト科とは何か?


地球上のあらゆる生き物は、それぞれの多様性を整理するために、さまざまな階級に分類されています。この分類は、生物の分類階級と呼ばれ、生物がどのように進化してきたか、共通の特徴を持つ生物をグループ化したもので、「界」「門」「綱」「目」「科」「属」「種」の順に進み、広範な階級から細分化された階級へと階層的に整理されています。


そして、私たち人間は、これらの分類階級の中の「霊長目・ヒト科・ヒト属・ヒト」に属します。


ヒトの分類階級

界:動物界

門:脊椎動物門(せきついどうぶつもん)

綱:哺乳綱(ほにゅうこう)

目:霊長目(れいちょうもく)別名:サル目

科:ヒト科

属:ヒト属(ホモ属)

種:ヒト(ホモ・サピエンス)


このヒト科とは、霊長目に分類される「科」であり、ヒトのほかに、チンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータンなどの大型類人猿も含まれます。これらの動物はすべて同じ祖先から進化し、手を使って物を操作する能力や、比較的大きな脳を持つこと、そしてある程度の社会的な行動をとることなど、いくつかの共通の身体的特徴や行動特性があります。




ヒト科の分類

ヒト科はそれをさらに細かく分類した「ヒト亜科」と「オランウータン亜科」で構成されています。
亜科によって分類しているのは、約1500万〜約1300万年前に、オランウータン科の系統が他のヒト科の系統から分岐したことに起因しています。


ヒト科

│    

├ ヒト亜科

│         ├ ヒト属(ホモ属)

│         ├ チンパンジー属

│         └ ゴリラ属

└ オランウータン亜科

      └ オランウータン属


ヒト属は大きな脳や二足歩行、非常に高い知能や高度な社会性を特徴とし、文化を形成し技術を発展させてきました。

チンパンジー属は 高度な社会性と道具使用能力を持ち、西アフリカから中央アフリカにかけての森林に生息しています。

霊長類の中で最も大きな体のゴリラ属は、主にアフリカの熱帯雨林に生息します。

そして、1300万年以上前に他のヒト科の系統から分岐したオランウータン属は、東南アジアの熱帯雨林に住み、長い腕と赤褐色の毛が特徴で、知能が高いことで知られています。


このように、4つの属の分類学上の位置付けはとても近いですが、生息域や行動、体の作りは異なります。
我々人類は、直立二足歩行と高い知能を武器にして、文明を持つ唯一の種となりました。
一方、ゴリラやオランウータン、チンパンジーは、それぞれの環境に適応し、自然の中でうまく生存しているのです。


現生するヒト科の種

ヒト属(ホモ属)

  • ホモ・サピエンス(ヒト)


チンパンジー属

  • チンパンジー
  • ボノボ


ゴリラ属

  • ヒガシゴリラ
  • ニシゴリラ


オランウータン属

  • ボルネオオランウータン
  • スマトラオランウータン
  • タパヌリオランウータン


亜種を含めるともう少し増えますが、現在生息しているヒト科の種は上記の8種です。



ヒトと類人猿はなにが違う?


類人猿とはヒトに似た形態を持つ霊長目ヒト上科に属するサルの通称名で、ヒト以外の人科の種は全て大型類人猿に分類されます。


小型類人猿:テナガザルとフクロテナガザルを含むテナガザル科

大型類人猿:チンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータン


チンパンジー

チンパンジー


ボノボ

ボノボ


ゴリラ

ゴリラ
claudialauhofによるPixabayからの画像


オランウータン

オランウータン
John LeongによるPixabayからの画像



類人猿の特徴は他のサルとは違って尻尾がないこと、脳の容量が大きいことなどがあげられますが、ヒトと類人猿の違いはその身体的特徴だけに留まりません。


ヒトと類人猿の違い

  • 脳の大きさと知能
  • 歩き方
  • 言語の使用
  • 道具の製作と使用
  • 体毛
  • 女性(メス)の発情期 など


中でも、ヒトと類人猿を分ける決定的な違いは直立二足歩行です。

ヒトが進化の過程でどのように直立二足歩行を獲得したのかはいまだに解明されていませんが、直立二足歩行によって手が自由に使えるようになり、食料を手に持ったり、道具を作ったりすることができるようになりました。また、脳の大型化や高度な認知能力、言語能力なども、直立二足歩行を獲得したことによってもたらされたと考えられています。


このように、直立二足歩行はヒトと類人猿を区別する上で最も重要な要素ですが、それを可能にする構造上の違いが、ヒトと類人猿の間には存在します。


直立二足歩行に関わる(ヒトと類人猿の)構造上の違い

  • 腕と脚の長さ:ヒトは腕が短く脚が長いが、類人猿は腕が長く脚が短い。
  • 脊椎のS字状の湾曲:ヒトの脊椎はS字状に湾曲しているが、類人猿の背骨は弓状。
  • 骨盤の形状:ヒトの骨盤は幅が広く上下に短い形状だが、類人猿の骨盤は縦長。
  • 大腿骨の角度:ヒトの太ももの骨は骨盤に対して内側に傾いているが、類人猿はこの角度が少ない。
  • 土踏まず:ヒトの足には土踏まずがあるが、類人猿の足は中央が柔軟に曲がっている。
  • 大後頭孔:類人猿と比較して、ヒトの大後頭孔は頭蓋骨の下方に位置している(背骨の真上に頭蓋骨が位置する)。


この他にも直立二足歩行を可能にする身体的特徴はいくつかありますが、これらの違いによって直立二足歩行ができるようになったと考えられています。



まとめ

今回はヒトと類人猿の違いについてお伝えしました。ヒトとチンパンジーのゲノムの違いはほんの僅かですが、その僅かな差によって知能や歩行方法などに大きな違いが生じます。

ヒトと類人猿の違いを知ることは、人類がどのように進化してきたのか、なぜ私たち人間が唯一のヒト属として生き残ったのかを考えるきっかけになるでしょう。


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マニアックなイベントでオリジナルTシャツを見て回るのが趣味な、なんちゃってアスリート。増え続ける体重と日々戦い、行き先問わず走ることを目的とした旅行系ダイエットランナーでありながらも、最近は筋肉の魅力に目覚めてしまい、減量どころか絶賛増量中。カロリー収支を気にしつつも、大好きな唐揚げだけは止められない!