ラグランスリーブとは?その由来から現在に至るまで
アメカジやスポーツのアイテム、さらにはバンドマンに根強い人気がある“ラグランスリーブ”。
袖の色が違って肩が落ちているTシャツというイメージも強く、意外にもその名称を知らない人の多いものですが、ラグランスリーブはここ数年人気があるビックシルエットの影響もあり、Tシャツやスェットなどのカットソーをはじめ、セーターやコードなどのあらゆるトップスのデザインになっているんです。
服を購入するときに袖のデザインを気にしている人は少ないかもしれませんが、みなさんが今着ている服などの一般的な袖の形状は“セットインスリーブ”と呼ばれるもので、袖と身ごろの生地の縫い目が肩から脇にかけて、ほぼ垂直に入っているデザインです。
セットインスリーブ
これに対して、ラグランスリーブの袖と身ごろの生地の縫い目は、ネック部分から脇の下にかけて曲線を描くように斜めに入っているデザインです。
ラグランスリーブ
このディテールは肩や腕が動かしやすいために様々なスポーツウェアに採用されているのですが、中でも袖と身頃の色を変えた七分袖は“ベースボールTシャツ”とも呼ばれ、子供から大人まで幅広い層に親しまれています。
なお、このラグランスリーブの名の由来は、ナポレオン時代の1815年にさかのぼり・・・
時の英雄・フランス皇帝ナポレオンが英・プロイセン連合軍に破られ、退位へと追い込まれた「ワーテルローの戦い」は有名な史実ですが、この戦いで政治家であり、イギリス陸軍の軍人としても活躍していたフィッツロイ・ジェームズ・ヘンリー・サマセットは右腕を失います。
腕は失ったものの、数々の功績を讃えられ「ラグラン男爵」という新設された連合王国貴族の爵位を受けました。その後に勃発したクリミア戦争にて、自分の負傷した経験を活かし、手や腕を失った兵士のために脱ぎ着しやすく動きやすい服を考案したのが始まりと言われています。
兵士達のためを想って作られたラグランスリーブですが、時を経てスポーツウェアのデザインに用いられるようになり、現在ではスポーツウェアだけでなく、様々なアイテムがラグランスリーブになっているのです。肩回りが動きやすいことはもちろん、流行に左右されないシンプルなシルエットのラグランスリーブアイテムは持っておくととっても便利。今回は、そんなラグランスリーブならではの魅力やおすすめのコーデをご紹介します。
ラグランスリーブの魅力
襟元から脇下にかけて縫い目の入ったラグランスリーブですが、機能的な面を知れば、グランスリーブをもっと好きになると間違いありません。
では、どんな魅力があるのか見ていきましょう。
肩や腕が動かしやすい
肩に縫い目がないため、肩や腕を自由に動かしやすいという特徴があります。ラグランスリーブのスポーツウェアは数多くありますが、スポーツする人にとっても重宝されているアイテムです。
肩幅を気にせず着用できる
一般的なセットインスリーブとは異なり、肩に縫い目がないため肩幅が広い人も狭い人も気にせずに着こなすことが可能です。また、袖の色が違う場合は肩幅を目立たなくする視覚効果もあるため、肩幅が広い人にとっても華奢見せコーデを実現できます。袖の色は黒やグレーなどの小さく見える収縮色を選ぶと良いでしょう。
簡単にアメカジコーデになる
アメリカでは1960年代にラグランスリーブのアイテムが人気でした。60年代のアメカジに仕上げるならば、トップスは袖の色が違うラグランスリーブを合わせましょう。
なお、ラグランスリーブは肩に縫い目がないために、肩からのなだらかな落ち具合が適度なゆるさを生んでくれるものの、配色やコーディネート次第では上半身がダラシなく見えやすいのでTOPをわきまることをお忘れなく。
ラグランスリーブでコーデの幅を広げよう!
スポーティーなテイストやアメカジを意識したコーディネートを作りたい時に便利なラグランスリーブ。Tシャツやスウェット以外にもセーターやコートなどありますが、ここではTシャツやスウェットのコーディネートを見ていきましょう。
軍パンと合わせてミリタリーコーデに
袖の配色が異なるグランスリーブは子どもっぽく見えがちですが、ミリタリーパンツを合わせれば無骨な男らしさを強調できます。グランスリーブのキャラクターデザイン入りなら、レトロかわいいアメカジスタイルに仕上がります。
短丈トップスとイウエストパンツで “Y2Kスタイル”
ショート丈のTシャツにハイウエストなデニムで、ヘルシーでセクシーな大人の肌見せコーデに。Z世代や世界中のスターの間で流行中のY2Kファッションを楽しみましょう。
オールインワン・サロペットコーディネート
ラグランTシャツにオーバーオールを合わせたスタイルです。ナチュラルなリラックスさを感じさせるオーバーオールに配色が異なるラグランTシャツを組み合わせれば、アメカジスタイルになりますし、ポップな遊び心を感じる装いになります。
ヴィンテージ風スウェットコーデ
50年代のヴィンテージスウェットのようなイメージのラグランスリーブにワイドなデニムを合わせたリラックスコーデ。あえてブラックのパンツと革靴を合わせたコーディネートも楽しめそうです。