氷の食文化はギリシャ・ローマ時代に存在していた?!
夏のスイーツといえば「かき氷」。
乾いた体に潤いを与えてくれる、まさに真夏の救世主。
頭がキーンとなったり、シロップで舌の色が染まったりと色々な感覚を楽しませてくれる夏スイーツのかき氷。イチゴ味やブルーハワイ味などの色とりどりのかき氷は海やお祭り会場の定番ですが、2015年くらいにはマンゴーをのせたフワフワなくちどけの「台湾かき氷」を台頭に、ここ近年のかき氷は驚くべき進化を遂げ
1杯3,000円越えの高級かき氷があるそうです!
3,000円するかき氷!どんなに美味しいんだろう…と妄想モードに突入してしまいますが、
- 天然氷
- 高級なフルーツ
- 高級なフルーツ
など、かき氷専門店はもとより、有名ホテルや人気のカフェなどでも高級なかき氷を食することができるので、気になる人はぜひ食べてみてくださいね。
また、最近では高級系かき氷の他にもスイーツの枠を超えた野菜を使ったものや冷やし中華かき氷、カルボナーラかき氷など「食事系かき氷」も話題になっていて、そんな進化系かき氷を求めて「かき氷巡り」を楽しんでいる人も多いようです。
んー、スタッフbは進化系よりも、ど定番のいちごミルク味が食べたいな…なんて思ってしまいますが、
そもそも、かき氷を食べる文化はいつから始まったのかご存じですか?
なんとなく昭和なレトロなイメージが強いんだけど…という人もいらっしゃるとは思いますが、かき氷ではなく、氷を食べる食文化として視点を広げると
古代ギリシャ・ローマ時代や古代中国
に存在していたと記録が残っているのです。
テルマエ・ロマエの時代や孔子の時代に氷を食べていたの?と驚きを隠せませんが、食品を保存するための雪や氷に蜜や果汁をかけて食されていたとされているのです。
当時の人たちにとって雪や氷とはどんな存在だったのか、どのように食されていたのか、詳しく解明されていないことも多いのですが、このようにかき氷の歴史は奥深いものなので、今回はそんなかき氷の歴史に迫ってみたいと思います。
ギリシャ・ローマ時代には健康食品として
現代のような技術がなかった時代は、冬にできた天然氷や降り積もった雪など貯蔵し、食品を冷やしたり、室内の温度を下げるためなどに利用していました。それがいつの頃からか、果物のシロップを凍らせたり、飲み物に氷を入れたりして、氷を食する文化が始まったのです。
なお、紀元前330年にペルシャ帝国を征服したアレキサンダー大王は、兵の士気を高める健康食品として、果汁にハチミツを加えた冷たい飲み物を与えていたとされています。暑い中での戦いでの冷たいものは何よりもの活力になったことでしょう。
その後、時を経て
果物やナッツを使った「ソルベット(シャーベットのイタリア語)」
ミルクを使った「アイスクリーム」など
が作られたとされています。
今では当たり前に食べられているアイスクリームやシャーベットなどの氷菓は、このようにして古代からの文化によって誕生した賜物なのですね。
日本におけるかき氷の歴史
では、ここからは日本におけるかき氷の歴史を見ていきましょう。
日本では、氷や雪を利用して作られた自然の冷蔵庫を「氷室(ひむろ)」と呼びます。国内最古の氷室は今からおよそ1300年前に奈良県天理市で作られ、夏になるとそこで保管された凍った氷を平城宮に献上したと記録されています。
また、平安時代の作家として有名な清少納言の枕草子や紫式部の源氏物語には、
「削り氷(けずりひ)」と呼ばれる、削った氷に甘味料をかけたもの
を食する描写があり、当時の貴族たちは削り氷を好んで食べていたようです。
現代のように冷蔵庫や製氷機のない当時の氷は
とても貴重な物であり、庶民には到底手が届かない代物
でしたが、江戸時代になると氷室のほかに雪国各地に雪室(ゆきむろ)ができ、雪や氷を保存するも技術し、より身近なものとなりました。
江戸時代のお殿様は、現在の石川県の加賀藩から雪氷を献上され、それを食していたとかなんとか…。金沢城から加賀藩上屋敷まで飛脚が運んでいたとされますが、氷の解けるスピードと飛脚のスピードを考えると信じられない速さなのかもしれませんね。
その後、明治時代に人口の氷を作る製氷機が開発され、
明治2年、横浜の馬車道に日本初のかき氷屋「氷水(こおりすい)店」がオープンしました。
ここでは、細かく砕いた氷にシロップをかけたものやアイスクリームが販売されていたとされています。
ちなみに、現在のような氷を削ったかき氷を食べられるようになったのは明治20年。村上半三郎が氷削機を発明したことにより、昭和初期頃には日本全国に氷削機が普及し、現在のかき氷が浸透していったのです。
みぞれ、ゆき、金時!かき氷のシロップについて
さて、かき氷の味といえば何を思い浮かべますか?
マンゴーなどのフルーツが大量に乗っているものをイメージする人もいるかと思いますが、「みぞれ」や「ゆき」、「金時」などはご存じないでしょうか?
コンビニの氷菓の商品名になっていたりしますが、
みぞれ:砂糖蜜をかけたもの
ゆき:砂糖をかけたもの
金時:小豆餡をのせたもの
となり、戦前の定番メニューでした。そののち、第二次世界大戦後になると、今も定番のイチゴやレモンなどのかき氷専門のシロップが使われるようになり、「ゆき」や「みぞれ」は廃れていったようです。
ちなみに、イチゴやレモンなどの
かき氷シロップは全て同じ味
という話を耳にしたことがある人も多いかと思いますが、市販のシロップの主原料は「果糖ブドウ糖液糖」であり、これをベースに赤や青などの着色と香料がそれぞれ加わるため、実際には
全て同じ味というわけではないようです。
鼻をつまんだらどれも同じ味に感じるかもしれませんが、子供の夢を壊すようなことはせず、かき氷の涼しげな色と香りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
今回はかき氷の発祥と日本の歴史についてお伝えしました。かき氷といえば日本のイメージもありますが、削った氷の氷菓は世界各地にありますので、日本だけでなく世界のかき氷を食してみてくださいね。