グラビアって、どういう意味?
こんにちは、スタッフBです。
さっそくですが、みなさん「グラビア」といえば何をイメージしますか?
雑誌の表紙などを飾るセクシー姿の「グラビアアイドル」!
もしくは、水着美女がたくさん載っている「グラビア雑誌」!
といった返答を期待しているのですが、グラビアとはセクシー姿の女性とは全く関係ないんです。そんなことは誰だって知っているよ…と言われてしまいそうですが、
グラビアとは、印刷の手法である「グラビア印刷」のこと指す言葉です。
それが派生して、グラビア印刷で印刷された雑誌を「グラビア雑誌」、雑誌の写真のページを「グラビアページ」、そこに掲載される女性のことを「グラビアアイドル(グラドル)」と呼ぶようになったのです。
セクシーで可愛いグラドルの語源は「まさかの印刷手法だったのかー」と納得している人もいるかと思いますが、グラドルの話しはさておき、今回の本題である印刷の歴史シリーズ第4段の「グラビア印刷」についてお伝えします。
グラビア印刷の起源と仕組み
グラビアの語源は、「彫刻」の意味を持つフランス語の「gravure」。
そして、グラビア印刷とは、チェコのK.クリッチュが発明した印刷技術で、
版画の技術を応用して作られ、写真の印刷に適している
ことから、「photo(写真)」と「gravure(版画)」が組み合わさり、英語では「photo gravure」と呼ばれるようになったとされています。
なお、グラビア印刷は凹版印刷(おうはんいんさつ)の一種となり、版に凹みを作り、凹んだ部分にインキを流し込み、紙やフィルムを押し当てて印刷します。
版の凹みの幅やインクの量によって印刷の濃淡を調節し、その凹みは様々な深さに調節することが可能であり、またインクの種類を増やすことで、発色が美しく多彩な印刷物に仕上げることができるのです。そのため、
写真などの画像(濃淡を表すグラデーションを持つ)の再現性が高い
とされ、雑誌などの写真ページといえば、グラビア印刷での印刷が主流だったのです。
ちなみに、写真ページがグラビア印刷だったのは過去のお話しで、現在はオフセット印刷で行われていることが多いようです。
オフセット印刷とは、版から紙などに直接印刷するのではなく、版にインクをつけ、転写用ローラーにインクを移し(Off)、それを紙に転写する(Set)手法です。コストはグラビア印刷ほどかからず、線や文字などの細かい部分の再現度はオフセット印刷の方が上とされ、仕上がりも十分キレイなため、雑誌や新聞、ポスターやチラシ、パンフレットなどの印刷物に使われているのです。
ん?ちょっと待てよ…。と、お気づきの人もいると思いますが、そうなんです!
これまでグラビア印刷されていた雑誌や巻頭カラーになっているアイドルは、グラビア雑誌、グラビアアイドルといった呼び方でしたが、それは過去のもので、
オフセット印刷されている現在では「オフセット○○」というように呼ぶのが正しいのかも・・・!
とはいっても、最近ではグラビアアイドルを略した「グラドル」といった呼び名が定着していることもあるので、「グラビア」という単語を知る人は激減していくことになるのかもしれませんし、「オフセット・アイドル」なんて呼び方がされることはなさそうですね。
グラビア印刷の特徴と用途
ここでは、グラビア印刷の特徴についてご紹介します。
写真などの濃淡の再現性が高い
先ほどもお伝えしたように、グラビア印刷は濃淡がハッキリと印刷されるので、陰影などを表現するグラデーション部分が美しく再現されます。
紙やフィルムなどの様々な基材に印刷できる
グラビア印刷できる基材は、紙だけでなく、プラスチックフィルム、不織布や金属箔などの印刷が可能となります。
製版コストが高いものの耐刷力が大きいため大ロット印刷に適している
グラビア印刷では金属の版を使用します。ゴム材や合成樹脂よりも価格が高いため版代がかかってしまいますが、他の方式の印刷よりも耐久性に優れており、長期間使用することが可能となり、大ロットの印刷に適しています。
また、グラビア印刷の主な用途としては以下の通りです。
- 紙カップ、タバコなどの紙製品
- 美術書や写真集
- 食品包装用フィルムやビニール
- 家具などの建材用木目
- 金属箔
など
このように私たちの暮らしの中には数多くのグラビア印刷のものがあります。
身の回りの印刷物はどのようにして作られているのか考えてみると、新たな発見があったりして、意外にも面白いかもしれませんね。