Tシャツ素材に欠かせない綿生産の知られざる闇?!
記事タイトル「人権問題に絡む~」っと、いきなりシリアスなテーマとなる今回の記事。
こうした話題やテーマにめっぽう疎いスタッフbが、
人権問題に取り組もう!
貧困問題を解決しよう!
などと掲げても、説得力に乏しい・・・というのが本音ですが、前回からシリーズとしてお届けしているテーマ「みんな知ってる?サステナブル・コットン」の2回目として、今回はコットン生産に伴う労働課題や人権問題について取り上げてみたいと想います。
Tシャツの生地素材として、古くからその主役となっている「綿」。
綿の生産時には大量の水を使用することや、農薬や化学肥料を大量に使用することで土壌が汚染される、ことが問題視されていますが、こうした生産体制がが続くと、地球環境の悪化や水資源の汚染などから綿栽培そのもの継続が難しくなり、いずれ綿の生産そのものが枯渇してしまいます。
そうならないための取り組みが、持続可能なサステナブル・コットンです。
分かりやすく言うと、自動車がエコカーであったり、ハイブリッド化が急速に広まっているのは、CO2排出を少しでも減らすことを目的としているのと同様、綿栽培においても地球環境のへの悪影響を最小限に抑え、さらには現状の生産レベルを維持できる栽培方法に切り替える
これがサステナブル・コットンの定義
と言っても過言ではないでしょう。
なるほど!じゃ、これまでの栽培方法からサステナブル・コットンに切り替えれば問題解決!
って、ことはそう簡単ではないことは容易に想像できますよね・・・
前回の記事では、サステナブル・コットンでの栽培における環境面での難しさと課題について触れましたが、今回の記事では労働環境や
強制労働・児童労働といった人権問題
についてご紹介していきます。
実は、綿農家の多くは貧困状態であり、貧困ゆえに長時間の強制労働や児童労働などが当たり前のように行われているのが現状。特にインドの地方やパキスタンなどの途上地域においては、こうした人権問題が顕著として現れているのです。
これまでどおり安定した綿生産を支えるためにも、こうした課題に直面しているということを知り、世界的なサステナブル・コットンの取り組みについて、関心を高めていけるよう心掛けたいところですね!
小規模農家による低所得が強制労働や児童労働の要因に
私たちが毎日当たり前のように着ているTシャツの主な生地素材となる綿は、綿の栽培農家によって生産されていることは言うまでもありません。言い換えれば、多くの綿農家さんが栽培をやめてしまえば、綿の供給がストップし、Tシャツの生産はおろか、
多くの衣類の製造ができなくなる
ということでもあります。
前回記事でもお伝えしたように、綿の栽培においては多くの化学肥料や農薬が使用されるため、綿栽培に携わる人の健康問題なども危惧されるところ。また、一部の先進国を除いては、生産者の多くが貧困に苦しむ家族経営の小規模農家であるのも事実。
また、綿栽培においては天候条件にも左右されやすく、世界的にも異常気象が頻発している現在においては、綿農家の所得も不安定になりやすいというリスクもあるのです。つまり
・健康を害するリスクが高い
・低所得で収入も安定しない
・よって人手を確保できない
こうした背景が、低賃金での強制労働や家族経営における児童労働の一因となっていると言われているのです。たしかに、綿栽培という重労働の割りに、生活が豊かにならないようであれば、綿栽培なんてやめたくなっちゃう・・・。
ましてや土壌汚染や異常気象などによって、綿の収穫が年々減ってしまうようであれば、ますます先細りになってしまうことが見えてますからね
綿生産における労働環境はゆゆしき状況
ということを世界的にも認識を深めなければならないのです。
現在、全世界で広がりつつあるサステナブル・コットンの取り組みにおいては、地球環境面での悪影響を軽減させることはもちろん、こうした労働環境面においても栽培基準を設け、
綿花栽培環境をより良くするための取り組みを行っていく
というのが世界的な潮流になりつつあります。
安定したTシャツ製造のためには、その素材となるコットンは命と言っても過言ではありません。綿農家さんのためはもちろん、これまでどおりTシャツを着て・作って楽しむためにも、サステナビリティという認識をより深めていくことが大切なのです。
サステナブル・コットンの需要増が人権問題解消の鍵!
上記のとおり、サステナブル・コットン製品を認証するうえで労働環境面での改善は必須となりつつあり、こうした基準に沿った形で生産された綿や綿製品においては、認証基準を満たした良質な製品であることを買い手に示すことができます。
こうした取り組みによって、綿農家の収益支援となることは言うまでもありませんが、一方で生産コストが多少なりとも増えるぶん、最終的にユーザーが購入する
製品価格も上がってしまう
という懸念があるのも本音。
すでに様々な製品が提供されている「オーガニック・コットン」を例に挙げても、一般的なコットン製品より高価であるのは周知の事実。オーガニック・コットンも、ただ「オーガニック」と呼称をつけている訳ではなく、綿花栽培の課程において第三者となる認証機関の認証を受けた農地で生産され、生産方法の基準などもクリアした
言わばサステナブル・コットン製品の一種
今後普及するであろうサステナブル・コットン製品においても、価格面で旧来のコットンよりかは多少高額になってしまうかもしれません。
とは言え、いつまでも旧来の綿栽培が続けられるか分からない時代。
サステナブル・コットン製品を一般的なコットン製品の価格レベルで提供できるかは、今後の
ユーザーの需要次第といった点が最大の課題となりそう・・・
私だって「できることならプチプラで買いたい」というのが本音ではありますが、カーボンニュートラルをはじめ、世界的に環境問題の意識が高まりつつあるなか、ヨーロッパを筆頭にサステナブル・コットンを積極的に消費しようとする動きが強まっています。
日本国内では、まだそうした意識の浸透までに時間が掛かるかもしれませんが、遅かれ早かれ多くの課題を抱える現状の綿栽培においては、
環境面でも労働面でも持続が難しい
という状況を踏まえ、Tシャツメーカーはもちろん、Tplantからユーザーまで、こうした意識を持つこと、そしてサステナブル・コットンの製品を当たり前のように消費することで、サステナブル・コットンの取り組みが定着するのではないでしょうか?
Tplantでも環境問題の意識を高め、サステナブル・コットンの取り組みに賛同していく予定です。