綿栽培の現状を知り・持続可能な生産への取り組みへ
みなさん、こんにちは!
スタッフbです。
今月はシリーズとしてお届けしている「みんな知ってる?サステナブル・コットン」。
3回目となる今回の記事では、
そもそもサステナブル・コットンとは?
どうしてサステナブル・コットンの取り組みが必要なの?
という点を深く掘り下げ、サステナブル・コットンの取り組みの意義やそもそもの目的などについて検証してみたいと思います。
これまでご紹介した記事
・みんな知ってる?サステナブル・コットン(#1)-環境面からのコットン生産の課題
・みんな知ってる?サステナブル・コットン(#2)-人権問題に絡むコットン生産の課題
をご覧になっていない方は、まずはそちらからご覧いただきたいと思いますが、これまで取り上げてきた内容をざっくりと要約しますと
1、綿栽培には他の作物にくらべ大量の水資源が必要
2、大量の農薬や化学肥料を使用するため土壌が汚染される
3、生産者の多くは貧困農家のため環境汚染に対する意識が低い
4、重労働の割りに儲けが少ないため強制労働や児童労働の要因に
5、綿栽培は天候に左右されやすく世界的な異常気象の影響を受けている
6、綿農家を取り巻く劣悪な環境によって生産が安定しない
などが問題点とされており、いずれ綿農家は栽培そのものをやめ、綿の生産そのものが大幅に減少してしまう恐れがあるのです。そうした状況を打開して、持続可能な綿生産体制を構築しようとする取り組みが「サステナブル・コットン」なのです。
スタッフbは、一向に結果が出ないダイエットをサステナブルにしたいところ・・・
って、冗談はさておき、みなさんも普段から特に意識することはないかもしれませんが、毎日身に付けている肌着や下着、洋服はもちろんのこと、お風呂の時に使うバスタオルにいたるまで、
綿製品は日常生活には欠かせない存在になっている
ということを考えてみてください。
もし、綿製品がなくなってしまったら・・・
もちろん代替となりうる化学繊維の製品は多く存在しますが、やっぱり直接肌に触れる衣類は、肌触り的にもコスパ的にもコットンが一番!特に、肌が弱く荒れやすい赤ちゃんにとっては、タオル地の衣類などが必需品となることでしょう。こうした観点で考えると、
このサステナブル・コットンの取り組みは決して他人事ではなく
そしてアパレル業界だけの話でもないのです。
中国やアメリカなどを除き、綿農家の多くはインドやパキスタン、ウズベキスタンといった発展途上国での小規模農家がほとんど。
生活するためにはなりふり構っていられない
というのが綿の生産現場の実情と考えると、とても難しい問題ではありますが、先送りすればするほど状況が悪化する傾向であることも事実ですので、この記事をきっかけに、ぜひ「サステナブル・コットンの取り組み」の知識を高めていただきたいと思います。
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コットンのナチュラルイメージとは裏腹に有害物質による健康被害も!
ヨーロッパをはじめ、諸外国ではすでに本格化しているサステナブル・コットン。
アパレルブランドを中心に、独自の環境負荷削減目標を設定したり、品質基準を設けたりして、旧来の綿栽培から環境に優しい栽培方法で作られた綿のみを使用するといった取り組みがなされています。
過去記事「▼オシャレに普段使いも!人気の登山・アウトドアブランド6選」でもご紹介した、アウトドアブランドの大手「パタゴニア」も、そのサステナブル・コットンを積極的に取り組むブランドのひとつ。
出典:サスティナブル・アパレル・コーリション-patagonia
https://www.patagonia.jp/sustainable-apparel-coalition.html
その背景には、綿製品に含まれる有害物質によってパタゴニアのスタッフに健康被害が生じたことがきっかけだったようですが、仕事をしている大人ですら健康被害を受けたとなると、綿製品が欠かせない
赤ちゃんなどはもっと重大なリスクにさらされている
可能性があるのです。
こうした流れのなかで、サステナブル・コットンの一種であるオーガニック・コットンのみを採用するブランドも増えつつありますが、やはり私たちコンシューマーとしては、少しでも安く買いたいというのが本音。当然のことながら、化学肥料や農薬を使用しないオーガニック・コットンなどは、
最終的に購入者価格に反映される
ことは言うまでもありませんので、家計負担になることは説明の余地もないでしょう。
でもこれも時代の流れ・・・
地球環境を考えるなら、受け入れなければならないのも事実です。
上記でご紹介したパタゴニア以外にも、世界的なパンクブランドで知られる「ヴィヴィアン・ウエストウッド」などは、オーガニック素材を積極的に採用し、衣類のみならずデニムからスニーカーに至るまで積極的にサステナブル・コットンを進めているのです。
Tplantで扱う各種メーカーのTシャツは、まだまだサステナビリティが浸透しているとは言えないかもしれませんが、当社では下記のようなオーガニック・コットン製品も取り扱っており、今後より一層ラインナップを増やしていく予定です。
もちろん当社だけでなく、Tシャツ業界全体、もっといえばアパレル業界全体として
地球環境・社会環境・経済問題
といった点も視野にいれたプロダクトを進めていく必要があり、地球環境に優しいハイブリッドなプリント用インクなども登場するかもしれません。そのぶん、販売価格に反映されてしまうかもしれませんが、サステナブル・コットンを
幅広く認知させるためには一定のニーズも必要
な訳で、安定的な需要があれば綿農家などの生産者にも利潤が生まれ、生産量も増えて価格も安定してくるというのが自然な流れです。ただし、これまでのように価格の安さも必要な要素で、例えばTシャツ1枚1万円ともなると、気軽に着たり、部屋着にすることも難しくなり、
結果的に綿の消費量が減ってしまう
ことにもなりかねません。
この辺の需給バランスはとても難しい問題ではありますが、アパレル業界は世界的にもサステナビリティを意識した生産に取り組みつつあるという点は覚えておいて損はないでしょう!
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海外アパレルブランドが本格化させるサステナブル・コットン
なるほど~
確かにコットンとの結びつきが一番強そうなのがアパレル業界ですもんね。
そのアパレル業界が筆頭に立って、積極的にサステナブル・コットンをアピールしてくれれば、私たち購入者への周知はもちろん、綿栽培農家さんにとっても品質向上につながりそうですね!
では、日本のブランドなんかはどうなの???
と、疑問を感じた方も多いかもしれませんが、実は日本国内においても環境省が先頭に立って、サステナブルファッションの取り組みを活発化させつつあります。
出典:環境省 サステナブルファッション
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
こちらは、コットンに限定したものではなく、ファッション全般におけるサステナビリティの向上を促進させることを目的としており、ファストファッションの大手「UNIQLO」なども同様に、地球環境の悪影響をを少しでも低減させるため取り組みを全社挙げて実施しているのです。
綿栽培以外の部分をピックアップすると、化学繊維の元となるパルプなどは木材から採取されるので、森林伐採なども環境破壊という観点ではいつまでも持続できるものではありません。綿栽培も同様に、水資源を大量に使用し、さらには化学肥料で土壌を汚染させ、その土地では他の作物が作れない状況を招いてしまうという観点では、
いつまでも今の綿栽培を持続できる訳がありません!
つまり、サステナブル・コットンの内容を噛み砕いてお伝えすると、今の綿の栽培方法は時代遅れだから、そうした環境負荷の大きな綿はアパレル業界で使用しないよ!という流れになっていく可能性は十分にあるでしょう。もちろん、それによって
安定供給が難しくなれば必然的に製品価格は高騰
してしまうので、その点は今後の課題だとしても、自然破壊や劣悪な労働環境や人権問題などを多くの問題を抱えた旧来の綿栽培の方法は、徐々に淘汰されていくのも時代の変化として捉えていかなければならないでしょう。あとは、
その価格高騰を購入者がどこまで許容できるのか?
今回この記事をご覧になられた方は、多くの方で恐らく「サステナブル・コットンが世界的な潮流であれば受け入れざるを得ない・・・」という風に考えて頂けるのではないかと思います。また、サステナブル・コットンの取り組みのなかで、環境問題や人権問題のほか、重要な点のひとつに
「ユーザー個々の意識の変化」
ということも必要なのかもしれません。
以前とくらべて全ての商品が値上がりした・・・、ということもあるかもしれませんが、サステナブル・コットンを広く実現させるためには、ユーザーさん個々で、たくさんのサステナブル・コットン製品をたくさん買うことが重要なのです。
みなさん、いかがでしたでしょうか?
サステナブル・コットンの基礎知識は、次回もまだまだ継続しますが、これらをしっかりと頭の隅にでも置いていただき、洋服選びの際の参考にしていただければ幸いです。