ヒエログリフが書かれた粘土版

【文字の誕生と進化②】神秘の古代文字ヒエログリフ

Staff B / 2024年4月9日

古代エジプトの文字「ヒエログリフ」について


こんにちは、スタッフbです。

前回は歴史上最古の文字とされるシュメール人が作った楔形文字(くさびがたもじ)についてお伝えしましたが、今回はその文字の誕生と進化シリーズの第二弾として古代エジプトの文字「ヒエログリフ」についてお伝えしていきます。


ヒエログリフってどんな文字のこと?と思う人もいるかと思いますが、テレビ番組「世界ふしぎ発見」や映画「ハムナプトラ」シリーズ、アニメ「遊☆戯☆王」などで古代エジプト文字として目にしている絵文字のようなものです。


ちなみに前回紹介した楔形文字は紀元前3500年頃に現在のイラクにあるチグリス川とユーフラテス川に挟まれた地域で発展したメソポタミア文明にて使われ始めたものとなり、今回ご紹介する象形文字・ヒエログリフは楔形文字より約500年後の


紀元前3000年頃にアフリカ大陸の北東部にあるナイル川の下流域で発展した古代エジプト文明


にて、使われるようになったとされています。

楔形文字の影響を少なからず受けているという説もありますが、現時点では解明されておらず…。


なお、エジプト文明といえば、クフ王などの墓であるピラミッドやツタンカーメンのマスクなどを思い浮かべるかと思いますが、それらはみな今から4500年くらい前のエジプト文明に作られたものであり、ピラミッドやツタンカーメンのマスクをはじめ、神殿の壁や彫刻、石碑や陶器、パピルス(植物を加工して紙上にしたもの)などには、数々のヒエログリフが刻まれているのです。


なお、墓や神殿の壁画に刻まれているヒエログリフは、王室の功績や宗教的な信念を表現するための描写とともに刻まれているのが特徴的芸術との観点から、その謎めいた描写と象形文字は何千年の時を経て人々を魅了し続けているのです。



古代エジプトのエジプト文字の歴史


古代文字といえばヒエログリフをイメージさせますが、古代エジプトでは時代を経るにつれて3種類の文字が登場しました。


ヒエログリフ(聖刻文字、神聖文字):紀元前4000年頃〜紀元前600年頃

ヒエラティック(神官文字):紀元前3000年頃〜紀元前600年頃

デモティック(民衆文字):紀元前660年頃〜紀元後5世紀頃


ヒエログリフ

ヒエログリフ
出典: Britannica


紀元前4000年の壷に描かれたシンボルがヒエログリフに似ているとの見解はありますが、ヒエログリフがいつ頃から使われていたのかは解明されていません。現在に発見された中で最も古いものは紀元前3300年頃となり、ナイル川流域で発見されたものです。初期のヒエログリフは物や動物などの象形文字が粘土製の資料に刻まれたり、石碑に刻まれたりしました。

その後、王や神に捧げる言葉を刻むための文字として、王墓の壁画には死者の冥界への宗教的な信念や王室の歴史記録などを刻まれていきました。


ヒエラティック


ヒエログリフとほぼ同時期に、パピルスなどに速書するための文字として「ヒエラティック」が登場し、神官や書記官によって日常の文書作成に使用されていました。ヒエログリフを簡略化した文字といった説もありますが、ヒエラティックが王墓や神殿の壁画などには使用されていないことから、ヒエログリフとヒエラティックは用途が異なっていたとされています。


デモティック


紀元前660年頃にはヒエラティックを簡略化が進み、草書体のような「デモティック」が登場し、役人だけでなく民衆も使う文字となりました。その後、壁画やパピルスなどに記す時にもデモティックが使われ始め、ヒエログリフとヒエラティックは徐々に衰退していきました。

なお、ヒエログリフは古代エジプト王朝がローマ帝国による征服されたことにより徐々にギリシャ文字が浸透し、4世紀末には完全に消滅しました。現在において最後に確認できているヒエログリフは、紀元後394年8月24日の日付で残っているフィラエのイシス神殿内にある礼拝所の壁面に書かれたものです。



発音はいまだ解明されていない?!ヒエログリフの文字の特徴


神の言葉とも呼ばれていたヒエログリフ。ヒエログリフの文字の形は私たちが使っている絵文字のように、物や動物など形を象っているため象形文字だと思っている人が多いかと思いますが、ヒエログリフは象形文字(表意文字の一種)でありながら、表音文字や限定符として使われていたと考えられています。


表意文字・表語文字:1つの文字で意味を表す文字

表音文字:1つの文字で音を表す文字(ひらがなやローマ字など)

限定符・決定詞:同音異義を区別するために付け加える文字や記号


さらに、エジプト語の表記体系では母音が表記されないため、


ヒエログリフには母音を表す文字がなく、子音のみ


が記されているのがその特徴。そのため、現在においてもどのような母音が存在していたのか解明できず、その発音はいまだ不明…。


一子音文字の他にも、2つの子音あるいは3つの子音を表す二子音文字と三子音文字があり、子音が2つ以上続く場合には各子音の間に「e」音を補って読んだり、本来子音文字であるA、a、i、wは母音として「ア」、「アー」、「イ」、「ウ」として読んだりといったルールが解明されています。


1子音文字とアルファベットの対応表

ヒエログリフ 文字の意味 アルファベット
𓄿 エジプトハゲワシ A
𓃀 B
𓂧 D
𓆑 ツノマムシ F
𓎼 土器の台 F
𓉔 葦の小屋 H
𓎛 よりあわせた亜麻糸 H
𓇋 葦の穂 I
𓆓 コブラ J(D)
𓎡 把手付のかご K
𓅓 フクロウ M
𓈖 さざ波 N
𓋔 赤冠 N
𓊪 マット P
𓈎 砂丘の斜面 Q
𓂋 R
𓋴 折りたたんだ布 S
𓏏 ロールパン T
𓍿 動物をつなぐ縄 T
𓅱 ウズラのヒナ W
𓇌 葦の穂2つ Y


また、下記のように複数の文字を組み合わせて、1つの意味を構成する場合もあります。

左側のひとつひとつの文字の意味は「ふくろう」「マスト」「腕」「パン」だが、ここでは表音文字として〈マハト〉という音のかたまりを作る。音のかたまりだけで「墓」という意味を持つが、これが「建物」の一種であることを示すために、建物を象った限定符が最後に付け加えられる。限定符は漢字の部首のようなものと考えればよい



このようにヒエログリフはいくつかの文字を組み合わせて使う場合もありますが、漢字の「明」が「日」と「月」で成り立っているかのような使い方がされています。


なお、日本語の場合には縦書きや横書きといった書字方向がありますが、ヒエログリフの場合には


縦書きでも横書きでも、右からでも左からでも書いてOK


だったようです。

どっちから読めばいいのかわかりにくく感じますが、人や動物などが向いている方向から読むことが決まりになっていて、


人が左を向いている場合には、左から右に読む


といったことがルールとされていたようです。


発音を含めヒエログリフはいまだ解明されていないことがあるものの、漢字(表語文字)とひらがな(表音文字)を一緒に使う日本語や漢字の成り立ちといい、何かしら共通点があるのが不思議ですね。


ちなみに、アルファベットをヒエログリフに変換するサービスがいくつかあります。
Unicodeにも含まれているので、ヒエログリフを使ったデザインデータを作成することも決して難しくありませんので是非試してみてください。


JPNLAB

https://jpn-lab.com/script/latin-to-hieroglyph/


Hieroglyphics Translator

https://lingojam.com/HieroglyphicsTranslator


▼データ入稿のガイドライン

デザイン作成・入稿について



ロゼッタストーンの発見とヒエログリフの解読


古代エジプト文明の発展とともに約3000年間使われてきたヒエログリフ。4世紀末には完全に消滅しため解読は容易ではなく、数世紀にわたって謎に包まれた文字でした。


その解読の鍵となったのは、1799年に発見された石碑「ロゼッタストーン」


ロゼッタストーンとは、高さ1m20cm、重量760kgの超巨大な石柱で、プトレマイオス5世が紀元前196年に出した勅令が刻まれた石碑の一部であり、エジプトのロゼッタ(現在のラシード)にてナポレオンのエジプト遠征中のフランス軍兵士ピエール=フランソワ・ブシャール大尉が偶然発見した遺物。


ヒエログリフ、デモティック(民衆文字)、ギリシャ文字の3つの文字が刻まれており、ギリシャ文字がヒエログリフの翻訳であるとすればヒエログリフ解読の手掛かりになるとして、多くの学者たちがその解読に挑戦しました。


中でも、1773年生まれの光の波を提唱したイギリスの物理学者でありながらも言語学者であるトマス・ヤングは重要となる功績を残しました。それまで表意文字として捉えられていたヒエログリフでしたが、発音文字として捉えることで、デモティックをほぼ解読し、ヒエログリフ部分とデモティック部分の対応関係を解明することができたのです。


その後、ヤング氏に代わってヒエログリフの解読に成功したのは、フランスの言語学者でありエジプト学者のジャン=フランソワ・シャンプリオン。幼い頃からヘブライ語、アラビア語、シリア語などを学び、ロゼッタストーンにおけるヤング氏の研究を尊重し、彼の成果を参考にして自身の研究を進めました。


そして、1822年9月14日、ラムセス2世によって岩を彫り込んで作られたアブシンベル神殿のヒエログリフを完全に解読することに成功し、これによってヒエログリフの解読の手法が確立されたのです。


このロゼッタストーンの発見とヒエログリフの解読は、古代エジプトの言語だけに限らず、宗教、文学、歴史など、古代エジプトを理解するための重要な手掛かりになりました。


今回は古代エジプトで使われていたヒエログリフについてお伝えしましたが、象形文字でありながら表音文字であることに驚いた人も少なくないのではありませんか。


歴史を知ることは文化や社会の理解だけではなく、新たな発想を生み出すことにもつながります。オリジナルプリントTシャツを制作するTplantでは、古代文字デザインのプリントも承りますので、ぜひヒエログリフを使ったデザインTシャツを作ってみてくださいね。


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オシャレとお酒に目がない意識高い系アラフォー女子。人一倍こだわりが強く妥協が許せない性格。お給料の大半を洋服やコスメといったドレスアップに浪費するも、最近は着飾って出掛けるところがないのが最大の悩み。リモートワークを邪魔してくる愛猫との縄張り争いが耐えない毎日を過ごす。