色鉛筆セット

鉛筆は六角形が多いのに、色鉛筆は丸が多いのはなぜ?

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普段何気なく使っている鉛筆と色鉛筆。

どちらも同じ「鉛筆」という名前がついていますが、よく見ると形が違うことに気づきます。一般的な鉛筆は六角形が多く、色鉛筆は丸いものが主流で、それ自体は気づいていたとしても、多くの方はその「形状の差」について深く考えることはないかもしれません。

実はこの形状の違いには、単なる見た目やデザインの好みではなく、「使い方」に基づいた明確な理由があり、目的に応じた設計思想が込められているのです。この記事では、その形の違いに隠された意味を紐解きながら、身近な道具に潜むデザインの考え方を分かりやすく解説していきます。

同じ鉛筆なのに形が違うのはなぜ?

鉛筆と色鉛筆は、一見すると似たような道具ですが、その役割は大きく異なります。

私たちの身近にあるこの2つの文具ですが、よく見ると「鉛筆は六角形」「色鉛筆は丸い形」といった違いがあります。そもそも、同じ鉛筆なのに形が違うのはなぜでしょうか?

結論から言えば、その違いは「用途」にあります。

鉛筆は主に文字を書くための道具であり、正確さや安定性が求められます。

一方で色鉛筆は、絵を描いたり色を塗ったりするための道具で、表現の幅や自由な使い方が重視されます。つまり両者は、「書く道具」と「描く道具」という違いがあり、その用途の違いが形状にも反映されているのです。

日本語には「造る」と「創る」、あるいは「制作」と「製作」のように、同じ読みでも目的やニュアンスが異なる言葉があります。鉛筆と色鉛筆の違いもそれと同じで、同じ“ペンを使う行為”であっても、その中身はまったく異なります。

書く(鉛筆) → 情報・文字・正確さ
描く(色鉛筆) → 表現・感覚・自由

この違いが、それぞれの形状の違いを生み出しているのです[1]

さらに、鉛筆は指にフィットしやすく安定した持ち方をサポートし、机の上で転がりにくいといった特徴があります。一方の色鉛筆は、立てたり寝かせたりといった自由な使い方に対応するため、丸い形状が採用されています。

同じ「鉛筆」という道具でも、目的が変われば最適な形は変わる。

この考え方こそが、デザインの基本ともいえるでしょう。

六角形に隠された「書くための設計」

鉛筆

一般的な鉛筆が六角形である理由には、いくつかの実用的なメリットがあります。

まず、六角形は机の上で転がりにくいという特徴があります。

学校やオフィスでは、ちょっとした転がりでもストレスや紛失につながるため、この形は非常に合理的です。さらに、六角形は指にフィットしやすく、安定した持ち方をサポートします。人は鉛筆を親指・人差し指・中指の3本で支えるため、面があることで自然に指が収まり、ブレにくくなるのです。

また、持ち方の矯正という点でも効果があります。

面に沿って指を置くことで、正しい持ち方を身につけやすくなります。

このように鉛筆の六角形は、「正確に書く・安定して扱う・長時間使用しても疲れにくい」という目的から導き出された形なのです。

なお、現代社会においては鉛筆を長時間握って文字を書き続けるような場面はほぼなくなりましたが、日本の教育システムのなかで培われる正しい鉛筆の持ち方は、大人になってからも日常のさまざまな場面で役立っています。

例えば、ボールペンや万年筆を使う際にも安定した筆記につながるだけでなく、長時間の作業でも手や指への負担を軽減する効果があります。また、正しい持ち方は文字の美しさや可読性にも影響するため、ビジネスシーンにおいても無意識のうちに評価を左右する要素のひとつとなり得ます。

つまり鉛筆の六角形は、単に「子どもの学習のための形」ではなく、

人が文字を書くという行為そのものを支える、合理的な設計だと言えるでしょう。

丸い形に込められた「描くための自由」

色鉛筆

一方で、色鉛筆の多くは丸い形をしています。

これは「描く」という行為に適した設計です。

絵を描くときは、鉛筆のように一定の角度で持つとは限りません。

寝かせて広い面を塗ったり、立てて細い線を描いたりと、さまざまな使い方が求められます。

スケッチなどでは、鉛筆を寝かせて人差し指で上部を押さえながら背景を塗ることもあります。丸い形状であれば、こうした自由な持ち方や動きに対応しやすく、手の中で自然に回転させることも可能です。その結果、芯の減りを均一にしたり、表現の幅を広げたりすることができます。

また、色鉛筆の芯は黒鉛ではなく色芯でできており、鉛筆よりも柔らかく太いものが多いという特徴があります。この色芯は黒鉛に比べて脆いため、外側の木軸でしっかりと保護する必要があります。丸い形状は力が均等に分散されやすく、芯を守るという点でも合理的です[2]

つまり色鉛筆の丸い形は、「自由に描く」「多様な使い方に応える」という目的から生まれたデザインなのです。鉛筆が「制御のための道具」であるのに対し、色鉛筆は「表現のための道具」と言えるでしょう。

何気ない違いに潜むデザインの本質

前段では、鉛筆と色鉛筆で「用途が違うと形状も異なる」ということを見てきました。

ここで少し余談ですが、学校の先生が使う赤青鉛筆について疑問に思う方もいるかもしれません。あの赤青鉛筆は、形状が丸く、芯も色芯でできているため、分類としては色鉛筆にあたります。ただし用途は「描く」というよりも、識別や強調といった“伝えるため”の使い方が中心です。

このように同じ色鉛筆でも、用途によって役割は異なります。

さて、鉛筆と色鉛筆の形の違いは、一見すると些細なものに思えるかもしれません。

しかしその裏には、「目的に応じて最適な形を導き出す」というデザインの本質が隠されています。

・鉛筆は正確に書くための安定性を重視した結果、六角形になりました。

・色鉛筆は自由に描くための柔軟性を重視した結果、丸い形になりました。

つまり形は単なる見た目ではなく、「どのように使われるか」という前提から決まっているのです。

実はこの考え方は、鉛筆に限った話ではありません。

例えば蛇口には、ひねって細かく水量を調整するタイプと、レバーを動かして直感的に操作できるタイプがあります。またドアノブも、回す丸いノブと、押すだけで開けられるレバー型では、求められる使いやすさが異なります。

≪蛇口≫

  • ひねるタイプ → 細かい水量調整ができる(制御)
  • レバータイプ → 片手・少ない力で操作できる(効率・直感)

→操作方法に応じて形が変わっている。

≪ドアノブ≫

  • 丸ノブ → 回す動作(昔ながら・誤操作しにくい)
  • レバー → 押すだけ(力が弱くても使える)

→ユーザーの身体特性(力・使いやすさ)で形が変わる。

このように、私たちの身の回りにある多くのモノは、「使い方」に応じて形が設計されています。

デザインの世界には「形は目的に従う(Form follows function)」という考え方があります。

今回の例は、それをとても分かりやすく示していると言えるでしょう。

少し視点を変えて「なぜこの形なのか?」と考えることで、普段は気づかなかった“意味のあるデザイン”が見えてくるはずです。

参考

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Staff B
Staff B

一度きりの人生を思いのまま生きている、飽くなき探究心が原動力のサブカル系アラフォー女子。流行に左右されず、趣味もファッションも独自路線を進み続けているため同世代の友人は少ないもものの、気の合う仲間とハイボールで乾杯するのが何よりの楽しみ。最近は奇岩と巨石にどハマり中!多趣味であるが故の金欠が最大の悩み。